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テーマ : 新型コロナ・全国

認知症へコロナ悪影響、認識7割 医療介護施設で全国調査

 新型コロナウイルス禍による生活の変化で医療・介護施設の70%が認知症の人の状態に「影響が生じた」と認識していることが15日までに、広島大と日本老年医学会の全国調査で分かった。施設の感染対策による面会制限や外出自粛などが、認知機能の低下といった悪影響を与えたとみられる。

2020年、面会制限の緩和を告げる張り紙=東京都港区の特別養護老人ホーム
2020年、面会制限の緩和を告げる張り紙=東京都港区の特別養護老人ホーム

 広島大の石井伸弥寄付講座教授(老年医学)は「状況を改善するには、中断していたリハビリを進めることや、面会制限などを徐々に緩和することが必要だ」と指摘。ただクラスター(感染者集団)を防ぐために一定の対策も必要といい「病院や施設ではどの程度の対策を行うか、難しいかじ取りが迫られる」としている。
 調査は流行「第8波」の最中だった1~2月に実施。全国の特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームなど995の医療・介護施設から回答を得た。今回が3回目の調査。
 実施した感染対策は「家族・友人との面会制限」(94%)、「外出制限」(89%)、「集団リハビリの時間短縮・中止」(48%)などだった。
 生活の変化で生じた具体的な悪影響は「認知機能の低下」が最多で重度認知症の人の78%だった。そのほか「身体活動量の低下」、「基本的日常生活動作の低下」が目立った。
 影響が生じたと回答した施設は2020年の1回目は39%、21年の2回目は53%と回を重ねるごとに増加。新型コロナの長期化が患者の心身に深刻な影響を与えている実態が浮き彫りになった。
 約6割の施設でクラスターが発生。感染者に認知症の人が含まれていた591施設の75~78%が、苦慮した点について「マスク着用など感染拡大防止予防に協力が得られなかった」「徘徊などのために隔離が困難だった」と回答。さらに16%は居室に鍵をかけるなどの身体拘束を行わざるを得ない状況だったとした。


 認知症
 脳の病気や障害など多様な要因で認知機能が低下し、日常生活に支障が出る状態。複数のタイプがあり、根本的な治療法はない。代表的なアルツハイマー型では物忘れや失語といった症状が起きる。ほかに幻視、手足の震えが特徴のレビー小体型や、血管性、前頭側頭型がある。高齢化に伴い患者数が増えており、厚生労働省は2025年には、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると予想している。

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