健康安保、米外交の柱に 世界の感染症対策主導へ新組織
【ワシントン共同】米国務省が1日、新たに「国際健康安全保障・外交局」を立ち上げた。新型コロナウイルスの世界的大流行を受けて設けた組織で、エボラ出血熱、エイズウイルスなどの感染症流行に対処。世界の「健康安保体制」の強化を米外交の柱の一つに位置付け、健康に対する脅威への国際的な対策を主導する狙いだ。
同局は、米国の同盟・友好国と協力して世界保健機関(WHO)などの近代化や、低・中所得国の対応能力の強化に向けて設立された「パンデミック基金」のような新たな仕組みづくりを目指す。米国の対外援助を活用し、各国の医療研究所やサプライチェーン(供給網)を含む公衆衛生システムの強化を支援する。
ブリンケン長官は同局の発足式で「世界の保健安保の強化は国務省にとって優先事項であり続ける」と語った。
新型コロナを巡って米国は感染者が世界最多となった。バイデン政権はワクチン確保で「自国第一」を余儀なくされ、国際協調路線がかすんだとの指摘も出た。アフリカでの米国の影響力が低下しているとの指摘もあり、政権にはこうした声を払拭したい考えもある。
発足式に参加したベセラ厚生長官は、トランプ前政権の米国第一主義を念頭に、他国には米国に対する「不安がある」と指摘。「米国は本当に戻ってきたのかという質問をよく受ける」とした上で「米国の技術や知見は私たちのものであるのと同様に彼らのものでもある」と述べた。