全額繰り越し3兆7千億円 コロナ予備費、検査院調べ
政府が新型コロナウイルス対策として2020、21年度に予算計上した予備費を財源とする事業を会計検査院が調べたところ、全額を年度内に執行せず、翌年度に繰り越したケースが18事業、計約3兆7千億円に上ったことが15日、分かった。検査院は目的外使用は確認されなかったとした上で「繰り越しが全額や多額に及ぶ際は、当初の想定や経緯を丁寧に説明することが望ましい」としている。
コロナ予備費は感染拡大防止や経済対策のため詳細な使い道を決めずに計上しており、20、21年度で計14兆6500億円。検査院はこのうち、参院の要請に基づき、21年度分に20年度からの繰り越し分を加えた計50事業、9兆4149億円を調査対象とした。
予備費は当初予算などと一体管理されることが多く、用途の特定は困難で透明性を欠くと指摘されている。そのため検査院は事業ごとの割当金額を「予備費相当額」として算出し、執行状況を調べた。
20年度からの全額繰り越しは内閣官房と6府省の14事業、計3兆3698億円。21年度は2府省の4事業、計3612億円だった。うち内閣府と厚生労働省では、20年度末の約1週間前に、算出根拠となる事業期間を「12カ月」「240日」などとして予備費を要求。全額が繰り越された。
各府省などは、関係機関との調整や実施計画策定に時間を要したなどと理由を説明したという。
調査対象のうち、支出済み額は8兆2335億円だった。