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山頂に登らなくても富士山は魅力的 静かな山歩き堪能【しずおかアウトドアファン】

 夏山シーズンを終えた富士山。今夏も国内外から大勢の登山客を迎え、山頂に向かう登山道は時に行列ができるほどにぎわった。一方で、夏が終わっても魅力的なのが富士宮、御殿場、須走の主要3ルート周辺の樹林帯や標高2693メートルの宝永山など富士山の山腹に点在するスポット。静かな山歩きを楽しめる「山頂に登らない富士山」の魅力を紹介する。 森の中を歩くハイキングイベントの参加者=8月中旬、富士山 迫力の宝永火口、美しい木々...  登山愛好者らでつくる日本山岳会静岡支部が山の日の8月11日に開いた、親子向けのハイキングイベント。県内を中心に参加した約20人が水ケ塚駐車場(裾野市)を起点に、須山口登山歩道、同下山歩道など標高1450~1650メートルの約8・5キロのコースを回った。
こけむした倒木や色鮮やかな木々の緑を楽しめる須山口下山歩道の周辺=8月下旬  参加者はブナやウツギ、ヒメシャラなどの美しい木々を眺め、標高による樹種の変化を感じてゆっくりと歩いた。途中ではこけむした倒木やシカの群れに出合い、歓声を上げた。富士山の噴火で出た溶岩やスコリアが壁のように積み重なった「幕岩」を見学し、水ケ塚駐車場そばにある標高約1500メートルの富士山の側火山「腰切塚」にも足を運んだ。
 家族4人で参加した静岡市駿河区の自営業木村友則さん(47)は「富士山の周りを歩くのは初めてだったが、森がきれいで楽しめた。支部会員の方がガイドでついてくれたので、安心できた」と笑顔を見せた。
宝永山の下部にある宝永第1火口。荒漠とした風景が見る者を圧倒する=8月下旬  山腹の樹林帯より標高の高い地点にも見どころは多い。富士宮口5合目や須山口登山歩道から足を延ばせば1707年の噴火で誕生した宝永山がある。天候が良い日は頂上から駿河湾や伊豆半島の眺望を楽しめるほか、宝永第1火口縁からは荒々しい巨大な火口を一望できる。御殿庭方面に下ると、次第に木々が増えて樹林帯に入っていく。
 山腹の各ルートは案内板が整備され比較的歩きやすいが、一部でごつごつした岩だらけの場所や森の中で踏み跡を見失いやすいポイントもある。挑戦する際は天候や気温に注意し、登山靴や防寒具、地図、雨具、ヘッドランプ、食料など十分な装備を持って出かけたい。
 (生活報道部・草茅出) 多様なルート 体力に合わせて
 富士山の山腹を歩く魅力とは何か。「頂上を目指さない富士山さんぽ」(ポプラ社)の著者で、10月28日に山梨県の富士スバルライン周辺の樹海、11月11日には静岡県側の二ツ塚周辺を巡る「頂上を目指さない富士山ツアー」(そふと研究室主催)でガイドを務める鈴木渉さん(46)=森町=に聞いた。
山頂を目指さない富士登山の魅力を語る鈴木渉さん=森町
 富士登山は、夏のわずかな時期に登山者が集中する。晴れていれば楽しいが、標高日本一だけあって厳しさもある山。富士山が登山を始めるきっかけになる一方で、大変だったからと一度きりでやめてしまうケースもあると聞く。 富士山腹を巡る主なルート  富士山の山腹巡りであれば、さまざまなルートが開かれているので自分の体力、技術に合わせて選択できる。山歩きに適した期間も長く、季節が巡るたびに繰り返し行けるのが特徴だ。多彩な富士山の楽しみ方が眠っている場所だと思う。
 静岡県側でお勧めなのは、水ケ塚駐車場周辺の森歩き。秋になると木々が紅葉し、5合目から登る夏の富士登山とは違った魅力がある。小山町の須走口5合目近くの小富士(1979メートル)周辺を歩くのも良い。短い距離の中で樹林帯や高山植物、雄大な景色などを一度に楽しめる。
 

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