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給食を完全無償化 静岡県内4市町 子育て世帯の負担軽減

 子育ての経済的な負担軽減の必要性の高まりを背景に、学校給食の無償化への関心が高まっている。静岡新聞社が県内全35市町の教育委員会に尋ねたところ、本年度当初の時点で小山町、御前崎市、西伊豆町が小中学校などで完全無償化していることが分かった。加えて4月に入り、河津町も国の地方創生臨時交付金を使って本年度の無償化を発表。同交付金を活用して無償化とする自治体が今後増える可能性もありそうだ。

県内市町の給食完全無償化の状況
県内市町の給食完全無償化の状況
食育の日に合わせた「ふるさと給食」。地元産のお茶や牛乳を使用している。
食育の日に合わせた「ふるさと給食」。地元産のお茶や牛乳を使用している。
出来たての給食を頬張る児童=小山町立足柄小
出来たての給食を頬張る児童=小山町立足柄小
県内市町の給食完全無償化の状況
食育の日に合わせた「ふるさと給食」。地元産のお茶や牛乳を使用している。
出来たての給食を頬張る児童=小山町立足柄小


他の自治体も動向を注視  県内他市町に先駆けて2019年度から完全無償化したのが小山町。子育て支援の充実、移住定住の促進、学校事務負担の軽減などが目的だった。本年度の対象は町内在住の3歳~中学3年生の計約1670人で、予算額は1億1700万円。
 無償化前の給食費で計算すると、小中学生1人当たり、年間5万円弱~6万円弱の負担軽減となっている。同町教委によると、保護者からは好意的な声が寄せられているという。
 御前崎市は20年度から実施している。かつては子育て支援として未就学児の児童手当への上乗せ給付を行っていたが、効果が不透明だったため、対象年齢を広げた上で確実に負担軽減につながる給食費の無償化に切り替えたという。
 西伊豆町は本年度から公立小中学校の完全無償化を開始。昨年度は半額の助成だったが、拡充に踏み切った。公立こども園も全学年で無償化している(3・4・5歳児は主食持参)。
 本年度当初に小中学生の給食費を400~500円値上げする予定だった河津町は一転、物価高騰による保護者負担の軽減のため、1年間の無償化を決めた。来年度以降の対応は未定。
 給食費無償化は、今春に発表された政府の「次元の異なる少子化対策」の試案でも「学校給食費の無償化に向けて、給食実施率や保護者負担軽減策等の実態を把握しつつ、課題の整理を行う」と記されている。今春の統一地方選でも公約に掲げる候補が見られた。
 県内では、川勝平太知事が1月の新春記者会見で公立小中学校の給食費の助成拡充を検討する考えを示した。現在まで具体的な動きはなく「国の動きを注視している」(県教委健康体育課)。
 各市町教委の担当者からは「学校給食法で給食費は保護者の負担と決められている」との意見がある一方で「県や国の動きを見ている」「交付金の使途を検討している」との声も聞かれた。

小山町、食育も充実 全校自校式、特A御殿場コシヒカリ 
 県内で小中学校などの給食完全無償化をいち早く始めた小山町。町内の小中学校全8校(須走は小中合同施設)で自前の調理場で給食を作る「自校式給食」を実施し、食育の目的で給食の時間に生産者を学校に招く「ふるさと給食」にも取り組んでいる。5月中旬、町立足柄小を訪れ、充実した給食の現場をのぞいた。
 正午過ぎ、調理場とつながったランチルーム。白帽にエプロン姿の全校児童計約70人が集まり、出来たての昼食を味わった。6年の湯山奏太さん(12)は「いつも料理が温かい。毎日完食している」と頬張った。
 「ふるさと給食」の同日のメニューは、地場産のお茶を使った「サワラのお茶パン粉焼き」「お茶プリン」など。主食が米飯の日は毎日、地元産で特A評価の「御殿場コシヒカリ」を提供している。
 生産者によるミニ講話も行われ、野菜生産者の岩田七郎さん(73)が「心を込めて育てたのでたくさん食べてほしい」と児童に語り掛けた。田植え指導も担う岩田さんは児童から感謝の手紙を受け取り「子どもの反応は励みになる」と笑顔を見せた。
 町教委によると、1955年の須走小を皮切りに町内で自校式給食が広がった。出来たてを提供できる▽学校菜園で育てた野菜を使用できる▽子どもが考案したメニューを採用しやすい▽給食スタッフと交流しやすい―など食育面の利点が多いという。

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