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北駿特産の水かけ菜漬け、法改正で危機 生産継続に保健所「助言」 御殿場

 漬物製造業が許可制になった食品衛生法改正に伴い、北駿地域特産の水かけ菜漬けの生産継続が危ぶまれている問題で、県御殿場保健所は10日、生産者対象の出張個別相談会を御殿場市のJAふじ伊豆御殿場地区本部で始めた。職員が生産者から製造施設の現状を聞き、許可を得るために改修が必要な場所を示した。

営業許可を得るのに必要な施設改修について説明を受ける生産者(手前)=御殿場市
営業許可を得るのに必要な施設改修について説明を受ける生産者(手前)=御殿場市

 許可を与える立場の保健所が出張個別相談会を開くのは異例という。水かけ菜漬けは個人生産者が多く、それぞれの実情に合わせて説明するのが望ましいと判断した。担当者は「どうすれば許可を取れるか助言する。なるべく円滑に許可を取ってほしい」とする。相談会以外での相談も随時受け付けている。
 10日は同市と小山町の生産者16人が参加。図面を示すなどして製造施設の現状を説明し、助言を受けた。約30年間生産を続ける込山慶信さん(78)=同町一色=は「年齢のこともあり、いつまで生産を続けようかと以前から考えていた。改修費用によって続けるか、やめるか判断する」と胸の内を明かした。
 富士山の伏流水で育む水かけ菜漬けは米などと並ぶ特産品。改正法では、手洗い用と器具洗浄用に別々の洗い場を設けるなどして営業許可を受けなければならない。生産者の多くは施設改修が必要になる見通し。行政に費用補助を求める声もあり、御殿場市農政課は取材に「補助制度を設ける方向で検討している」とした。
 (東部総局・矢嶋宏行)  「断念」2割超 JAふじ伊豆調査
 JAふじ伊豆が実施した調査で、御殿場市と小山町の漬物生産者の2割超が「営業許可を取らない」と答えたことが分かった。約半数は許可を取得するか「検討中」とした。
 4月に実施した集団説明会でアンケートを実施。営業許可取得予定の質問には134人が答え、「許可を取得する」は23人(17%)、「検討中」は69人(51%)、「取得する予定はない」が37人(28%)だった。「その他」が5人。
 同JAによると、回答者の大半は水かけ菜漬けを生産している。

 

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