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水田の畦 草刈り省力化 芝草で雑草抑制 効果確認、普及へ 北駿の農業「維持一助に」 県東部農林事務所

 静岡県東部農林事務所は、北駿地域に広がる水田の畦(あぜ)の管理を省力化する手法の効果を確認した。雑草の発生を抑制する芝草を植え、草刈り作業の負担を軽減。2024年度から普及に努める。同地域は「御殿場コシヒカリ」で知られる県内有数の米産地。農家の高齢化や担い手不足が深刻化する中、担当者は「おいしい米を長く作り続けてほしい」と期待する。

センチピードグラスを植えた水田の畦。雑草の発生を抑え、草刈りを省力化する=御殿場市(県東部農林事務所提供)
センチピードグラスを植えた水田の畦。雑草の発生を抑え、草刈りを省力化する=御殿場市(県東部農林事務所提供)


 御殿場市と小山町、JAふじ伊豆と連携し、20年度から両市町の水田で試験を実施した。他感作用により雑草の発生を抑える芝草「センチピードグラス」を畦に植えた結果、草刈りの回数や1回当たりの所要時間が減った。
 事務所は将来的に草刈りの回数が年間5回から2回に減り、10アール当たりの作業時間は年間9時間から3・6時間になると試算。生産振興課の浅香明美さん(31)は「農業経営の維持や発展につながる」と話す。
 北駿地域は富士山麓に階段状に整備した水田が多く、畦は水田全体の15%を占める。雑草が生えて虫が付くと米の品質が落ちるため草刈りが必要だが、真夏は草刈り機を背負っての作業を強いられ、事故や熱中症のリスクが高い。
 事務所は他地域で効果が実証されていたセンチピードグラスに着目したが、当初は雑草の生命力に負けて枯死。活着性の資材と混ぜて機械で散布する愛媛県の製紙会社の独自技術で植栽に成功した。今後は関係機関と連携して周知を図る。希望する米農家への導入手順を検討している。
 (東部総局・矢嶋宏行)

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