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企業版ふるさと納税 裾野市に静岡県内8割15億円 自治体間で大きな格差

 企業版ふるさと納税制度を活用した2022年度の静岡県内自治体への寄付額は前年度比0・6%増の19億8300万円、寄付件数は76%増の245件で、いずれも制度が始まった16年度以降で最多だったことが7日までの内閣府のまとめで分かった。企業側の関心が高まり、自治体にとって新たな自主財源の確保につながる一方、自治体間で寄付額の差が広がりつつある。
静岡県内自治体への企業版ふるさと納税寄付実績
 同制度は、民間企業が国に認定を受けた地方創生の計画を持つ自治体を選んで寄付ができる。県と県内市町を合わせた22年度の寄付額は北海道、群馬県に次いで全国3位だった。寄付を受け入れた県内の自治体は21年度の28から30に増えた。
 自治体別にみると、裾野市は全国トップの15億4631万円で、県内全体の8割近くを占めた。次世代技術の実証都市「ウーブン・シティ」を建設するトヨタ自動車などから寄付を受け、最寄り駅のJR岩波駅周辺の整備などに充てる。担当者は「事業を応援してもらえることはありがたい。安全でにぎわいのあるまちづくりを着実に推進したい」と歓迎した。
 2位の小山町は前年度の900万円から1億4431万円へと急増した。「全庁を挙げた企業への営業活動が実った」と担当者。木質バイオマス発電事業や東名高速道足柄サービスエリア周辺の町道整備に活用するという。
 昨年7月から受け入れ態勢を整えた東伊豆町は首長によるトップセールスなどで7社から440万円を集めた。町内の産業活性化や結婚・出産・子育て支援などを進める方針だ。
 寄付した企業は税負担の軽減に加え、地域課題の解決に向けて自治体と関係を構築できる利点もある。一方、本社を置く自治体への寄付はできないため、自治体にとってはゆかりのない企業への働きかけも重要になる。22年度の寄付額がゼロだった県東部の自治体担当者は「個人版同様に競争が激しくなっている。企業の関心を集めるには特色を打ち出す必要があるが、差別化を図るのは難しい」と課題を指摘した。
 内閣府によると、全国の自治体が22年度に受け入れた寄付額は前年度比1・5倍の341億700万円、寄付件数は1・7倍の8390件に膨らんだ。
 (政治部・森田憲吾)

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