テーマ : 小山町

玄米おにぎり開発 小山の農家と元営業マン手結ぶ 冷凍でももっちり 道の駅で販売

 小山町の「道の駅ふじおやま」で、町内産の米を使った冷凍玄米おにぎり「玄米deむすび」が販売されている。農業振興に情熱を燃やす都内の元営業マンと、町の農業の未来を案ずる米農家のタッグで生み出した。町内産の米と裏作で栽培される名産の水かけ菜の食文化を守り、地域活性化にもつなげたいと願う。

冷凍玄米おにぎりを完成させた亀山さん(左)と湯山さん=小山町の道の駅ふじおやま
冷凍玄米おにぎりを完成させた亀山さん(左)と湯山さん=小山町の道の駅ふじおやま
解凍した玄米おにぎり
解凍した玄米おにぎり
冷凍玄米おにぎりを完成させた亀山さん(左)と湯山さん=小山町の道の駅ふじおやま
解凍した玄米おにぎり

 商品化したのは、昨年8月まで素材メーカーの営業職だった亀山剛太郎さん(49)。農業の奥深さに魅了され、一念発起して退職。農と食の事業を展開する「3181Farm(さいわいファーム)」を立ち上げた。2021年9月に訪れた同町の田園風景に一目ぼれ。町が運営する市民農園を4区画借りて畑と向き合いながら、町の活性化に貢献したいとの思いを募らせてきた。
 おにぎりに使う米「ひとめぼれ」を生産するのは同町の米農家湯山直文さん(75)。裏作で育てた水かけ菜を収穫後に緑肥として土へすき込み、富士山の湧水で栽培する米はもっちりとした食感や甘みが特徴。町内では同様の方法で栽培が簡単なもち米を生産する農家が大半という。近年の肥料高騰や食品衛生法改正に伴う水かけ菜の生産危機などを受け、「自分の栽培方法をPRすることが他の農家を助け、水かけ菜の食文化継承にもつながるのでは」と考えていたという。
 2人は22年11月に出会い、意気投合。「機械成型できない」「解凍すると崩れる」とされてきたこれまでの玄米の概念を亀山さん率いる3181Farmが独自の熟成技術で解決。玄米本来の魅力を引き出す製法で、柔らかさや香ばしさを生み、白米に近い食感と甘みを実現した。高い酵素力価による整腸作用がある「みどり麹(こうじ)」やミネラル豊富な岩塩を使い、食品添加物を用いない安全性にもこだわった商品に仕上げた。町は9月5日に、ふるさと納税返礼品に加えた。
 亀山さんは「今後は小山町から都内、世界へと発信を広げ、町の農業や活性化に良い影響をもたらすことができれば」と意気込む。
 「玄米deむすび」は1袋8個入りで、税込み648円。
 (御殿場支局・塩谷将広)

いい茶0

小山町の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞