平野６位、伊藤７位 パリ五輪選考３４・５ポイント差で最終決戦へ 卓球・全農杯
卓球のパリ五輪シングルス代表選考対象大会、全農カップ大阪大会最終日は２６日、大阪市のＡｓｕｅアリーナ大阪で行われ、女子順位決定戦で、伊藤美誠（スターツ、磐田市出身）が４－３で横井咲桜（ミキハウス）に競り勝ち７位に入った。平野美宇（木下グループ、沼津市出身）はフルゲームで大藤沙月（ミキハウス）に敗れ６位だった。男子は戸上隼輔（明大）、女子は張本美和（木下アカデミー）が優勝した。
女子シングルス５位～６位決定戦 ラリーで懸命に球を追う平野美宇＝大阪中央体育館（写真部・坂本豊）
２枠を争う代表選考の女子は今大会、準優勝で７９０・５点に伸ばした早田ひな（日本生命）の１位が実質的に確定。２番手の平野は４８６点となり、３番手の伊藤との差は大会前から１０ポイント開いて３４・５点差となった。選考対象大会は来年１月の全日本選手権が最後となる。
伊藤 勝負どころでらしさ
選考レースの命運を左右しかねない勝負どころで、伊藤が久々に「らしさ」を見せた。最終第７ゲーム。連続サービスエースなどで先行し、終盤はフォアのスマッシュを合わせて横井を振り切った。前日は準々決勝から２連敗したショックを隠せなかったが「試合の中で切り替わった」とすっきりした表情。平野とのポイント差を最小限にとどめ、全日本選手権につなげた。
女子シングルス７位～８位決定戦でポイントを奪い、拳を握りしめ声を上げる伊藤美誠＝大阪中央体育館（写真部・坂本豊）
「打球の質は中国選手レベル」と警戒する難敵にゲームカウント１－２とされたが、第４ゲームから「相手の狙いや崩し方が分かるようになった」という。１１－９でタイに戻すと、第５ゲームは０－１から８連続得点。狙われていたバックへの相手サーブもリターンエースで切り返し、「乗りに乗った感覚があった。そうなるとスマッシュも入る」と手応えをつかんだ。
来月にはワールドツアー女子最終戦が名古屋市で開催される。日本にトップ選手が集い、観客が入る国際大会は４年ぶり。中国トップ選手に勝てば平野とのポイント差を縮められるチャンスだが、それ以上に「世界ランク上位の選手に挑めるのが楽しみ」と伊藤。本来の姿を取り戻し、最終決戦に臨むつもりだ。
（山本一真）
平野 受け身に回り不覚
平野は代表争いで圏外の１９歳大藤に不覚を取った。「失うものはない状態で向かってきた」という若手に受け身に回ってフルゲームで敗戦。前日に伊藤に勝ったため、大会前よりポイント差は広げたが、序盤は挑戦を受ける立場になる全日本選手権へ課題を残した。
大藤との５～６位決定戦はゲームカウントで常に先行を許した。第６ゲームは８－３から追い上げをしのぎ、最終ゲームも７－８と競り合ったが最後は３連続失点。国際大会などでも中国勢に向かっていく時は好結果が出ているが、格下を迎え撃つ時はもろさがあり「どんな相手でも同じ気持ちで戦わないと」と言い聞かせた。
東京五輪の代表争いでは、２番手を守りながら、最終盤で３番手の石川佳純さんとの直接対決に敗れて逆転される悔しさを味わった。「あの経験があるから絶対に２位になるという強い気持ちで頑張れている」。今回こそ自力で悲願のシングルス枠をつかむ。
１５歳張本美 初Ｖ
成長著しい１５歳の張本美は、これまで早田に歯が立たなかった。世界ランキング５位につける日本女子のエースを通算９度目という対戦で初めて撃破。「率直にすごくうれしいし、自信につながる」。昨年３月に始まったパリ五輪の選考対象大会で優勝するのも初で、喜びをかみしめた。
快進撃が続けば、日本協会の強化本部が決める五輪団体戦のメンバー入りの声も出てきそうだ。
▽男子シングルス準決勝
張本智（智和企画） ４（１１―８ ８―１１ １１―４ ７―１１ １１―９ １１―４）２ 篠塚（愛知工大）
戸上（明大） ４（１１―５ １１―４ １１―６ １５―１３）０ 有延（琉球）
▽同３位決定戦
篠塚 ４（１１―６ １１―７ ８―１１ １１―５ １１―９）１ 有延
▽同決勝
戸上 ４（３―１１ １１―８ １１―８ １３―１１ １１―８）１ 張本智
▽女子シングルス準決勝
早田（日本生命） ４（１１―８ １１―４ １１―４ ７―１１ １１―８）１ 木原（木下グループ）
張本美（木下アカデミー） ４（１１―８ １１―４ ８―１１ １１―８ ２―１１ １１―５）２ 長崎（木下グループ）
▽同３位決定戦
木原 ４（１１―２ １１―７ １１―８ １１―９）０ 長崎
▽同決勝
張本美 ４（７―１１ １１―８ １１―７ １０―１２ １４―１２ １１―９）２ 早田
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