「祈りの空間」表現し建築 函南・仏の里美術館10周年 設計者栗生明氏、記念講演
開館10周年を迎えた函南町のかんなみ仏の里美術館は15日、記念講演会を町文化センターで開いた。同館を設計した建築家の栗生明氏が「祈りの空間」と題して講演した。
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館、平等院宝物館・鳳翔館など全国各地の建物を設計した経験談を披露し、人間のみに与えられた「祈り」の空間を表現する意義について語った。被爆者への静かな祈りの場とするために建築物を地下に埋め、水を求めて亡くなった死者の鎮魂を思い水が感じられる施設を造るなど、建築に込めたさまざまな祈りと物語を紹介した。ピラミッド型のお堂を二つ並べた仏の里美術館では、念仏に熱心な地元住民の思いを「空間性に埋め込めないか」と考えたと振り返った。
同美術館は地元に残る仏像群を保存、継承するため、2012年4月に建てられた。薬師如来像、阿弥陀(あみだ)三尊像など貴重な仏像が展示されている。
(三島支局・金野真仁)