テーマ : 教育・子育て

障害ある子の絵デジタル販売 喜びと自信、表現力養成 沼津の放課後デイサービス

 沼津市の放課後等デイサービスが、障害のある子どもが描いた絵をデジタルアートとして販売し、PRに力を入れている。絵が売れることで子どもの自信とやる気を起こし、多彩な表現力養成につながっている。

クリプトニンジャの絵を描く子ども=9月上旬、沼津市の放課後等デイサービス「カララ」
クリプトニンジャの絵を描く子ども=9月上旬、沼津市の放課後等デイサービス「カララ」
絵本を寄贈したおすいちさん(後列左)と安藤さん(後列右)=9月上旬、沼津市の放課後等デイサービス「カララ」
絵本を寄贈したおすいちさん(後列左)と安藤さん(後列右)=9月上旬、沼津市の放課後等デイサービス「カララ」
クリプトニンジャの絵を描く子ども=9月上旬、沼津市の放課後等デイサービス「カララ」
絵本を寄贈したおすいちさん(後列左)と安藤さん(後列右)=9月上旬、沼津市の放課後等デイサービス「カララ」

 手がけるのは放課後等デイサービス「カララ」。絵を「NFTアート」と呼ばれるデジタルアートにして発信。安藤和宏代表(41)は「子どもの可能性を少しでも広げたい。先進分野に関心が高い人にも、障害福祉を知ってもらうきっかけになれば」と期待する。
 安藤さんはSNS「ディスコード」で、子どもが描いた「クリプトニンジャ」というキャラクターの二次創作作品をインターネット販売している。1作品あたり数千円相当の暗号資産(仮想通貨)で取引する。投機目的ではなく、子どもへの応援として購入する人が多いという。「障害のある子の中には、会話が苦手でも絵で自分を表現できる子も多い。絵が売れると保護者と喜びを共有でき、子どもの自信にもつながる」と手ごたえを感じている。
 作品販売を機に新たな交流も生まれた。9月上旬、ディスコードを通じて安藤さんの活動を知った奈良県の絵本作家おすいちさん(34)が、同施設を含む4事業所に絵本100冊を寄贈した。クラウドファンディングで募った資金で、クリプトニンジャのキャラクターが登場する絵本を制作し、全国の児童関連施設に寄付しているという。
 安藤さんの活動の動機には、施設運営を自走化させたいという思いがある。売上金はおやつやかき氷機、遊具など運営費に充てている。安藤さんは「障害福祉の現場は、デジタルの導入が遅れている。施設運営は国の給付金で多くが賄われているが、子どもの生活の質を少しでも上げる選択肢として、他の事業所にも普及すれば面白い」と話す。
 (東部総局・菊地真生)

 NFTアート 「非代替性トークン(NFT)」という技術を利用して複製や改ざんが不可能になったデジタルアート。従来の美術品のように唯一無二の価値を持ったことで、市場取引が活発化している。「クリプトニンジャ」は日本発のNFTプロジェクトで、誰でも二次創作や商用利用ができる。

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