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国内外の大学が入試に活用「国際バカロレア」 概要まとめ【国際バカロレアとは? 静岡県内の導入校、全部取材しました①】

  photo01 国際バカロレア認定校の加藤学園暁秀高(沼津市)の美術の授業
 国際的な大学入学資格が得られる「国際バカロレア(IB)」。耳にする機会が増えたが、いったいどんなものなのか。文部科学省からの委託で普及啓発を担う組織「IB教育推進コンソーシアム」事務局への取材を元にまとめた。(取材は2024年1月)
誕生の経緯
 国際バカロレア(IB)はNPO「国際バカロレア機構」(本部=スイス・ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。当初は外交官をはじめ国境をまたいで働く人の子どもらを対象にしていた。どんな国にいても質の高い教育を提供し、国際的に汎用(はんよう)性のある大学進学資格を確保することを目的に1968年に始まった。
 こうした経緯もあり、自分とは異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあると認めて尊重し、平和な世界を築くことができる人材育成を目指した学びの枠組みを構築している。決まった知識を記憶・理解することだけでなく、学び方や思考方法を学ぶ点も特徴。子どもが好奇心を持って自ら学ぶ「探究」を重視している。
大学進学への活用は
 2023年12月末現在、国内の認定校は小中高など164施設。かつてはインターナショナルスクールでの導入が多かったが、現在は国公私立を含む学校教育法で規定された「一条校」にも広がっている。
 23年1月現在で国内77大学がIBを入試に活用している。IB機構のウェブサイトによると、海外でも100以上の国・地域、5千以上の大学で活用している。
 日本では高3で受ける「IB試験」を経て国際バカロレア資格(IB資格)を得た人のみを対象にした入試、IB資格を出願条件とした上で面接や小論文を行う総合選抜などがある。共通テストや大学個別試験を受けずに合格が決まるケースがある一方、これらが課される事例もあり、選抜方法は大学により異なる。
どんな教育内容
 3~19歳の年齢に応じた4つのプログラムがある。
◆PYP(Primary Years Programme・3~12歳)
 日本では幼児教育施設や小学校で導入される。言語・社会・算数・芸術・理科・体育(身体・人格・社会性の発達)の6教科を中心に学ぶ。「私たちは誰なのか」「世界はどのような仕組みになっているのか」など教科横断的なテーマについても学ぶ。どのような言語でも提供可能。

◆MYP(Middle Years Programme・11~16歳)
 日本では中学校で導入されることが多い。言語と文学・言語の習得・個人と社会・理科・数学・芸術・保健体育・デザインの8教科を学ぶ。どのような言語でも提供可能。

◆DP(Diploma Programme・16~19歳)
 日本では高2、高3で導入される。コアと呼ばれる三つの必修要件は、関心のある分野の研究成果をまとめる課題論文(日本語8千字)、学び方を学ぶ「知の理論」(TOK)、課外で自発的に活動する「創造性・活動・奉仕」(CAS)。このほか、言語と文学(母語)・言語習得(外国語)・個人と社会・理科・数学・芸術の6グループの中から1科目ずつ学ぶ。授業や試験は原則として英語、フランス語、スペイン語で実施される。ただし、一部教科を日本語で実施する仕組みもある。DPを全て履修し、外部評価(IB試験)と内部評価を通して規定以上の得点を獲得すると、国際的な大学入学資格を得られる。

◆CP(Careerーrelated Programme・16~19歳)
 キャリア形成に役立つスキル習得を重視したプログラム。2024年1月現在、日本に認定校はない。

(※文部科学省の委託でIBの普及や推進を担う「文部科学省IBコンソーシアム」への取材を元に作成)

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