テーマ : 教育・子育て

受験シーズン到来 「合格」にとらわれない【思春期の心 支える力 受験①】

 受験シーズン到来です。この時期になると、中高生が不安を抱えて話しに来ます。

(イラスト・矢野晶子)
(イラスト・矢野晶子)

 「勉強に集中できない」「友達は頑張っているのに自分はそこまで頑張れない」「落ちたらと思うと不安で仕方ない」「今の勉強のやり方でいいのかと不安になる」「些細[ささい]なことが気になって、どんどん不安になっていく」などと言います。
 この時期に最も大事なことは集中力です。勉強の成果は、「集中力×勉強時間×勉強内容」です。その集中力を身に付けるのに最も大事なことが休息と睡眠、そして「受験を日常生活の延長」と考える心の持ち方です。
 ある年の11月、高校3年生が授業後に声をかけてきました。「(ドストエフスキーの)『カラマーゾフの兄弟』の宗教論について先生の考えを聞かせてください」と言うのです。私なりの考えを話してから「ところで高校3年のこの時期にそんなに膨大な作品を読んでいて受験勉強は大丈夫なの?」と聞いてみました。彼は「18歳という年齢でカラマーゾフに出合えたことを大事にしたいのです。もちろん受験勉強も頑張ります」と言って、さらにカラマーゾフを深く読みつつ、志望大学に合格していきました。
 クリスマスまで演劇の稽古を重ねて舞台に立ち、翌年2月の入試を突破した教え子もいました。いずれも「どうしても両立させたい」という強い意志と集中力が発揮されたからです。
 「どうしても受かりたい」という強い思いは勉強を頑張るために大事なことですが、もっと大事なことは、矛盾するようですが、受かることにとらわれないことです。「合格したい」にとらわれると「落ちたらどうしよう」という不安に襲われます。その結果集中力が欠けてしまいます。むしろ「持てる力を100%発揮しよう」と考えることです。まず受験までにやれる内容を具体的に考え、それをやりきるように努めることです。
 心のコントロール方法については次回書いてみます。
 (蔭山昌弘・スクールカウンセラー=静岡市葵区)

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