テーマ : 教育・子育て

リアルな体験、社会に関心 10代が接客やごみ拾い、募金活動

 中学生が地域の仕事やボランティアを体験できる社団法人「10代と社会をつなぐプロジェクト」(東京都日野市)。代表理事の佐藤裕貴さんは「今の子はネットやゲームでバーチャルな経験は多いが、リアルな体験はそうでもない。活動を通じて、貧困やごみなど身近にある問題を考え、主体的に社会課題に取り組むようになってほしい」と語る。

「10代と社会をつなぐプロジェクト」メンバーのミーティング=東京都日野市
「10代と社会をつなぐプロジェクト」メンバーのミーティング=東京都日野市

 同市で昨年12月、中学2年生のメンバー9人が集まった。佐藤さんが事前にホワイトボードに書いた「貧困」「子ども」「環境」といったテーマを基に、中学生に「どんな課題があるか」と問うと、「いじめ」「少子高齢化」「海洋プラスチック」などが挙がった。続いて今後やりたい活動について話し合った。
 職業体験はこれまで、豆腐店や理容店、幼稚園で実施。「学校でも職業体験はあるが、接客しないなど制限がある」(佐藤さん)として、店側に頼み、なるべく実際の仕事を手伝わせてもらっている。参加者からは「立ち仕事がこんなに疲れるとは思わなかった」「接客はすごく気を使う」といった反応があったという。
 地域の福祉のための赤い羽根共同募金の活動やごみ拾い、子ども食堂の手伝いなどのボランティアも行った。活動については、隔週で開催するミーティングで振り返る。ある男子中学生は「ごみ拾いをしたことで、街にどういうごみが多いか気付くようになった」と話した。
 活動は2022年に開始。参加費は無料で、企業や団体からの寄付で運営している。
 佐藤さんは介護サービス会社の役員として働いており、これまで多くの企業研修を行ってきた。団体設立は「若いうちからこうした体験・研修を受ければ、課題に前向きに取り組むようになる」と考えたのがきっかけ。コロナ下で、子どもが実体験をする機会が減ったことに危機感を覚えたことも後押ししたという。

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