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テーマ : 藤枝市

1区 上川氏に対抗、3氏が名乗り/8区 裏金問題絡み不透明 2024静岡県内選挙 衆院は波乱含み 

 2023年、衆院議員は25年10月30日までの4年の任期を折り返したが、静岡県内の政界にも波及した自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題により衆院解散の時期は見通せない状況だ。与野党は捜査の進展や秋に予定される自民党総裁選をにらみながら、党勢の立て直しや候補者擁立を急ぐ。25年の知事選に向けた駆け引きも活発化しそうだ。
1区 上川氏に対抗 3氏が名乗り photo03 上川陽子氏   photo03 高橋美穂氏   photo03 山下洸棋氏   photo03 鈴木節子氏
 自民現職の対抗馬に立民元職と維新、共産の新人が名乗りを上げている。
 自民現職の上川陽子氏(70)=7期=は外相として外遊や記者会見を精力的にこなす。裏金問題で内閣支持率が急落する中、「ポスト岸田」候補の一人に急浮上し、発信力をさらに高めている。公務のため地元入りの機会が限られるが、秘書や自民市議らによる地盤固めに余念がない。
 立民と国民の両県連は、支援団体の連合静岡を含む三者で共闘する方針で一致している。ただ、比例票の掘り起こしが絡み候補者調整の行方は不透明だ。
 立民は、前回選に国民から出馬した元職の高橋美穂氏(58)の公認を巡り県連内で賛否があったが、23年10月に1区総支部長就任を決定した。高橋氏は県連幹部と街頭演説を重ねたり地域行事にこまめに顔を出したりして浸透を図っているが、現時点で連合静岡は推薦を出していない。
 一方、国民は「立民と連合の三者で推せる候補者」(県連幹部)を前提に県都での擁立を模索するが、具体化には至っていない。
 野党第1党を目指す維新は、前回選で6区から出馬し落選した新人の山下洸棋氏(32)が出馬の準備を進めている。組織的な基盤の構築は途上段階にあり、連日街頭に立って既存政党との違いを押し出して知名度向上を図っている。
 共産は早期解散の観測が広がった23年10月に新人の鈴木節子氏(68)の擁立を表明した。市議、県議を20年以上務めた経験を生かし、党支持者や現政権に批判的な層に支持を訴える。

8区 裏金問題絡み不透明 photo03 源馬謙太郎氏   photo03 塩谷立氏   photo03 寺嶋瑞仁氏
 前回選で一騎打ちを繰り広げた立民現職の源馬謙太郎氏(51)=2期=と自民現職の塩谷立氏(73)=比例東海、10期=に加え、維新が次期立候補予定者として元会社役員の新人寺嶋瑞仁氏(30)の擁立を発表した。野党連携の行方や自民のパーティー券裏金問題が絡んで、現時点では構図が見通しにくい。
 源馬氏は党国際局長を務め、若手中堅議員のグループ「直諫(ちょっかん)の会」立ち上げに参画。党内で存在感を高めている。前回は党主導による共産候補との一本化が実現したが、源馬氏自身と地元共産支持者の間には微妙な距離感がうかがえ、次回の連携の成否は流動的とみられる。
 最大派閥安倍派の座長に就いた塩谷氏は、党内の各種プロジェクトチームを主導。地元のインフラ事業なども推進する。ただ、裏金問題で支援者の間に動揺が広がった。後援会幹部は事態を見守る構えだが、一部支援者からは「推移次第では世代交代の引き金になり得る」との声も漏れる。
 寺嶋氏は23年8月に党が擁立を発表した。県西部では党の支持組織は乏しいが、浜松市内に事務所を構え、草の根的な活動で知名度向上に励む。

3区 小山氏、宮沢氏に 維新新人割って入る photo03 小山展弘氏   photo03 宮沢博行氏   photo03 釜下由佳子氏
 立民現職の小山展弘氏(48)=3期=と前回比例で復活した自民の宮沢博行氏(48)=4期=の5度目の対決に維新新人の釜下由佳子氏(43)が割って入る構図になる見込み。釜下氏の出馬が、保守層や非自民層の投票行動にどう影響するかが焦点になりそうだ。
 小山氏は頻繁に地元入りして地域行事や連合傘下の団体の集会などを回り、新たな支持層の獲得にも注力する。維新の擁立で非自民の選択肢は増えた。票の流出が懸念されるが「ぶれずに今まで通りのやり方を続けていく」と小選挙区での連勝を目指す。
 宮沢氏は、派閥パーティー券収入の還流を政治資金収支報告書に記載していなかった問題について地元での説明に追われている。支援者には自ら不記載を認めたことを評価する声がある一方、「比例復活した前回選より情勢は厳しくなった」との見方も出ている。
 掛川市内に23年秋、事務所を構えた釜下氏は、街頭演説や地方議員へのあいさつ回りをこなし認知度向上を図る。育児サークルなど女性団体とも関係を深めて、女性の就労支援や教育費無償化実現を訴える。8区の維新新人と連動した活動を加速させる構え。

2区 立民 参政新人 井林氏に挑む photo03 井林辰憲氏   photo03 鈴木岳幸氏   photo03 提坂大介氏
 自民現職の井林辰憲氏(47)=4期=は内閣府副大臣としての多忙な職務の合間に地元入りし、支援者からの要望をこまめに聞き、政策に反映させようと奔走する。立民新人で藤枝市議の鈴木岳幸氏(50)は23年6月に党公認候補予定者として2区総支部長に就任し、JR藤枝駅前で街頭演説を地道に続ける。23年7月に立候補を表明した参政新人の島田市議提坂大介氏(48)はSNSや動画投稿サイトでの政策発信を強化する。前回新人が立候補した共産は、候補者擁立を模索する動きがある。

4区 自民の深沢氏対現新3氏の構図 photo03 深沢陽一氏   photo03 田中健氏   photo03 高田晃宏氏   photo03 中村憲一氏
 自民現職の深沢陽一氏(47)=2期=に、前回比例で復活した国民の田中健氏(46)=比例東海、1期=と参政新人の高田晃宏氏(49)、無所属新人の中村憲一氏(49)が挑む構図。
 外務政務官の深沢氏は公務で地元に戻る機会が制限されるが、秘書が企業・団体回りや後援会組織づくりを担い地盤固めに余念がない。田中氏も労組の支援を受け、4区全域への支持拡大を図る。「政治とカネ」や富士川の河川環境改善を訴える。高田氏は連日街頭演説を行い、前回維新から出馬した中村氏は政党所属を目指し活動を続ける。

5区 出馬確実は細野氏のみ photo03 細野豪志氏   photo03 吉川赳氏
 出馬が確実視されるのは、前回選後に自民入りした現職細野豪志氏(52)=8期=のみ。週刊誌報道を受けて自民を離党した無所属現職の吉川赳氏(41)=比例東海、3期=は地元で公の場に姿を見せず、次期選挙への意思も明らかにしていない。野党系の候補擁立は決定に至っていない。
 細野氏は23年6月、空席になっていた支部長に就任。旧民主党時代から長年にわたって対立してきた自民の古参党員らとの融和に注力する一方、旧来の後援会組織の連合会を立ち上げるなど態勢を整えている。

6区 勝俣氏 渡辺氏 5度目の戦い photo03 勝俣孝明氏   photo03 渡辺周氏
 前回初めて小選挙区で勝利した自民現職の勝俣孝明氏(47)=4期=と、比例復活した立民現職の渡辺周氏(62)=9期=の5度目の対決が予想される。
 勝俣氏は23年9月までの農水副大臣時、公務で地元に戻る回数が限られたため、支援者回りに懸命。所属する二階派のパーティー券問題は「全て収支報告書に記載済み」と強調する。
 渡辺氏は、地元の立民県議が推薦を取り消されるなど、すきま風が吹く支持母体連合静岡との関係修復が課題。労組や支持者へのあいさつ回りを重ね、信頼関係の再構築を急ぐ。

7区 7選期す城内氏 立共2氏も準備 photo03 城内実氏   photo03 日吉雄太氏   photo03 吉川奈緒子氏
 7期目を目指す自民現職の城内実氏(58)に立民元職の日吉雄太氏(55)と共産新人の吉川奈緒子氏(63)が挑む構図になる見通し。現時点で野党候補の一本化に至らず、政権批判票の奪い合いも予想される。
 前回は組織力と知名度で勝る城内氏が日吉氏との対決を2倍以上の差で制した。城内氏は県連会長の要職を担いながらも継続して地元の集会などにこまめに顔を出し、着実に支持を固める。日吉氏は地道に街頭演説を重ねて無党派層への浸透に注力。23年春の市議選にも出馬した吉川氏は比例票の掘り起こしも狙っている。
8市区で分割解消 次期衆院選区割り 静岡県内も変更  次期衆院選は小選挙区の区割りが全国で大きく変わる。県内は8選挙区を維持するが、複数選挙区にまたがっている8市区(静岡市葵区、駿河区、清水区、旧浜松市中区・旧南区、天竜区、御前崎市、伊豆の国市)で選挙区の分割が解消される。対象地域は投票先の選挙区が変更となるため注意が必要だ。
 「1票の格差」の是正に向け、22年11月に改正公職選挙法が成立したことに伴う措置。県選管によると、県内で選挙区が変わる対象者は23年12月1日時点の選挙人名簿登録者数で約3万8000人に上る。 photo03    御前崎市は2区の旧御前崎町が3区に、伊豆の国市は5区の旧伊豆長岡町が6区に、浜松市天竜区は3区の旧春野町が7区にそれぞれ移行する。静岡市は4区となっている葵区と駿河区の一部地域が1区となり、清水区内で1区とされているエリアが4区に移る。7区に入っている旧浜松市中区・旧南区の一部地域は全て8区に変わる。
 市町にとっては選挙事務が効率化される利点がある一方、有権者からは「これまで応援してきた候補者に投票できない」など戸惑いが広がる可能性がある。県選管は「市区町選管の協力も得ながら、あらゆる手法で区割り変更を周知していきたい」としている。
 

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