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テーマ : 藤枝市

サギ電話 見抜かれてますよ 通報件数増加、静岡県警「警戒心の表れ」 新たな手口にも注意

 特殊詐欺被害の「入り口」と指摘される「サギ電話」の認知件数が今年、大幅に増加している。認知件数の増加は、県民が犯人グループからのサギ電話と見破り、警察に通報する数にも比例するとされ、架電状況に応じた警戒活動や注意喚起の強化につながる。11月末現在の被害件数、総額は前年同期比で減少していて、県警は「県民の警戒心が高まっている表れ」と推察。「年末年始は家族間で固定電話対策などを話題にして」と期待している。

サギ電話を認知した際の早期通報協力を呼びかける民生委員(左から2人目)と藤枝署員。「シニアサポートプロジェクト」では固定電話対策の徹底を促している=10月、藤枝市岡部町
サギ電話を認知した際の早期通報協力を呼びかける民生委員(左から2人目)と藤枝署員。「シニアサポートプロジェクト」では固定電話対策の徹底を促している=10月、藤枝市岡部町

 「今までも常に留守番電話設定にしてきた。不審な番号はすぐ通報しますね」
 10月中旬、藤枝市岡部町の住宅街。藤枝署員と県民生委員児童委員協議会の岩倉睦弘会長らが80代の夫婦宅を訪ね、サギ電話への警戒徹底と通報協力を促すと、夫婦は即座に答えた。
 活動は、民生委員が高齢夫婦や独居高齢者の家を訪問した際、NTTのナンバーディスプレー無料サービスなど各種固定電話機対策を周知する「シニアサポートプロジェクト」の一環。情報網という民生委員の強みを生かし、被害発生時も警察が迅速に情報を共有し、近隣地域での対策強化につなげる狙いがある。
 岩倉会長は「警察官と一緒に行けば全てがスムーズ。新たに用意してくれたチラシで説明もしやすい」と効果に自信をみせた。
 県警生活安全企画課によると、1~11月のサギ電話の認知件数は前年同期比742件増の4812件。11月だけでも39件増の490件だった。一方、被害件数は同67件減の325件、総額は同1億2620万円減の6億9440万円。受け子に加え、かけ子ら事件を主導するグループの摘発も今年は特に目立つという。
 全国的には今年、被害件数、総額はともに増えている状況の中、本県では住民の積極通報による認知の増加が、被害抑止と摘発加速に寄与した可能性が高い。
 県警は、NTTが5月に全国で始めた「ナンバーディスプレー」の無料サービスなどを固定電話対策の強化につなげている。民生委員をはじめ県老人クラブ連合会(シニアクラブ静岡県)など、高齢者層で主に組織する「同年代」への協力依頼も加速させている。

ネットバンキング、海外番号 新たな手口次々  インターネットバンキングの特性を悪用、海外番号を使っての架電―。警察の捜査網をかいくぐろうと特殊詐欺グループは次々と新たな手口で迫ってくる。共通するのが、「入り口」は大半が固定電話への架電という点だ。被害全体の約9割を占めるとされる。
 県内では9月以降、警察官や検事を名乗った男らにネットバンキングでの現金振り込みを指示され、1千万円以上の高額を送金してしまう被害が相次いだ。自宅内で携帯電話を使い、誰の目にも止まらない状況下で被害に遭ったとされる。IP電話からの架電後、「LINE(ライン)」や「Signal(シグナル)」などのアプリに切り替えさせた上で連絡を重ねてきたが、被害者が最初の電話を受理してしまったのは固定電話だった。
 NTTの協力加速で固定電話対策が強化された5月以降、「+1」「44」など「0以外」で始まる海外番号での架電も急増している。海外を拠点にしたグループの手口とみられ、10月と11月はいずれも県内で100件以上を認知し、5月以前の4~5倍に増えた。
 県警は、こうした海外からの固定電話への着信などを休止できる無料サービスの活用も促すが、そもそも海外番号自体を知らない県民は多い。通話無料の国際電話不取扱受付センター<電0120(210)364>に申し込む流れなどを解説するチラシも用意し、啓発強化を図るという。
 (社会部・荻島浩太)

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