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テーマ : 藤枝市

大災害備え、藤枝市が新伝達手段運用検討 通信アプリ「ラインワークス」活用、医療救護の本部と現場で迅速な情報共有

 藤枝市は、大規模災害時の医療救護本部と各主要救護所との間で迅速かつ正確な情報共有をするために、スマートフォンなどの通信アプリ「ラインワークス」を活用した新たな情報伝達手段の運用の検討を進めている。市内のモバイル回線基地局の被災や通信制限、回線が混雑した場合に備え、安定したインターネット環境の維持を目的に、ソフトウエア開発を手がける松久産業(福井市)が無償で貸し出す衛星データ通信「スターリンク」の活用も想定する。
ラインワークスを使った情報伝達の方法を説明する藤枝市の担当者=2023年12月中旬、市保健センター
 2023年12月中旬、実証実験が医療救護本部と主要救護所を置く藤枝市内の4カ所で行われた。市保健センターでは志太医師会と藤枝歯科医師会、藤枝薬剤師会を含めた関係者約15人が参加。医師の安否や傷病者の受け入れ報告、救護所の開設、医薬品追加の各要請などをシナリオに、連携イメージや対応の仕方を確認した。スターリンクも保健センターの玄関前と本部の市役所に設置し、整った通信環境を構築した。市によると、医療救護の情報伝達訓練でスターリンクを利用するのは静岡県内初という。
実証実験でラインワークスを活用した情報伝達を試す参加者=2023年12月中旬、藤枝市保健センター
 災害時に使う防災行政無線や衛星携帯電話は、悪天候時の不安定な通信環境、聞き逃し、雑音の発生といった課題が挙がる。藤枝市は情報伝達網の研究のために、専門知識を持つTOKAIケーブルネットワーク(沼津市)に業務委託して実証実験を実施した。志太医師会の寺島弘明事務局長(62)は「連絡がスムーズで良いツール。使いやすくて、活字が大事だと感じた」と利便性を評価した。
スマートフォンでラインワークスを操作した画面
 一方で、各救護所から一斉に膨大な情報が寄せられる本部の対応、バックアップする人材の補充の必要性などを指摘する意見があった。使用するスマートフォンやタブレットは個人端末のため、患者の個人情報の取り扱いを懸念する声も上がる。
 市は情報を処理する人数と専門性のある人材の確保といった災害態勢の整備を検討し、ラインワークスの運用規約も策定する方針。市健康推進課の担当者は「調整すべき事項が多々ある。メリット、デメリットを精査しながら手段を探っていく」と述べた。
 (藤枝支局・青木功太)

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