⚽藤枝順心、連覇へ王手 全日本高校女子サッカー
第32回全日本高校女子サッカー選手権は5日、兵庫県のノエビアスタジアム神戸で準決勝を行った。連覇を狙う静岡県の藤枝順心は大阪学芸に1-0で競り勝ち、2年連続の決勝進出を果たした。
藤枝順心は0-0で迎えた後半ロスタイム、MF下吉優衣の縦へのロングパスに反応したFW藤原凛音が決勝ゴールを決めた。サイドから展開する相手の攻撃にはDF陣がポジショニングを徹底し、失点を防いだ。
昨年準優勝の十文字(東京)は柳ケ浦(大分)を2-0で破り、決勝に進んだ。
▽準決勝
藤枝順心 1(0-0 1-0)0 大阪学芸
▽得点者【藤】藤原(下吉)
【評】後半ロスタイムに貴重な得点を挙げ、藤枝順心が激戦を制した。
藤枝順心は前半31分、ニアサイドへのCKをFW高岡が頭で合わせたがポストに阻まれた。後半19分にはFW辻沢の折り返しをフリーで受けたMF久保田が決めきれず。決定機を何度かつくったものの得点できなかった。だが終了間際、MF下吉の縦へのロングパスをFW藤原が右足で合わせ、決勝ゴールをたたき込んだ。
あわやPK戦 藤原、鮮やかワンタッチ PK戦に突入かという苦しい最終盤。FW藤原の劇的な決勝ゴールが、藤枝順心を2年連続決勝へと導いた。「初戦から仕事ができていなかったので、勝利に貢献できてうれしい」。値千金の得点に笑みがはじけた。
点が取れずに焦りが募る時間帯。藤原は背後へ抜け出すチャンスをうかがっていた。相手DFの対応を見て「自分のスピードならいける」とタイミングを計りパスを待った。MF下吉のパスから得点するパターンはこれまで何度も経験済み。だからこそ思い切ることができた。「キーパーが出てくるのが見えたので、蹴れば入る」。イメージ通りに右足のワンタッチでゴールへ押し込んだ。
この直前、スタッフ陣は藤原の交代を考えていたという。中村監督は「最後に一度、サイドを変えて引っ張ってみようと話したタイミングでのゴール。素晴らしい抜け出しで決めてくれた」と殊勲の2年生をたたえた。
新人戦から先発をつかんだものの、全国高校総体の大阪学芸戦では思ったプレーができず、決勝はピッチの外から優勝を見届けた。悔しさをバネに、今大会は3試合で先発を張る。「自分と向き合う時間があったから自信を持つことができた」。連覇へあと一つ。自らのゴールで先輩の花道を飾る意気込みだ。
絶妙ロングパス 下吉、決勝点アシスト 藤枝順心の決勝点はMF下吉の絶妙な縦へのロングパスから生まれた。「(藤原が)走ったのが見えた。距離はあったが、フリーだったのでいける」と迷いなく自陣から蹴り出した。
精度の高いキックやパスでゲームをつくり、今大会も多くの得点に絡んできた。中村監督は「左右、長短で正確なパスが出せるし、ショートパスやドリブルで相手を錯乱できる。彼女なしでは勝てなかった」と存在の大きさを語る。
昨年の準決勝でも決勝ゴールと大舞台で力を発揮する。決勝は2年連続で十文字が相手。「チャレンジャー精神で臨み、日本一を取って笑顔で終わりたい」と前を見据えた。
(運動部・吉沢光隆)
▽準決勝
十文字(東京) 2(2―0 0―0)0 柳ケ浦(大分)
雪辱誓う十文字(東京) 十文字は決勝に駒を進め、準優勝だった前回の雪辱の権利を得た。前半25分、右クロスを受けた福島が先制。その4分後にはPKを安西が沈めた。
決勝は前回と同じ藤枝順心が相手。三宅は「借りを返す。悔しさを胸に戦いたい」とリベンジを誓った。