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テーマ : 藤枝市

レトロブーム続く昭和の魅力 各地の博物館が紹介 藤枝では特別展

 昭和レトロブームが続く中、昭和30年代前後の日用品を収集し、当時の生活風景を再現、展示している各地の博物館が人気を集めている。現代人を引き付ける昭和の魅力とは?

藤枝…人形で日常生き生きと 昭和30年代を舞台に、大きな木に集まる子どもたちを人形とジオラマで表現した石井美千子さんの作品=藤枝市郷土博物館  藤枝市の蓮華寺池公園内にある市郷土博物館では、人形作家の石井美千子さん(1953~2023年、福井市出身)の特別展「昭和のこどもたち展」を開催中。昭和30年代の子どもたちの日常が分かる桐塑[とうそ]人形とジオラマは味のある表情と懐かしい情景が評判だ。
 昨年亡くなった石井さんの初の遺作展。めんこ、チャンバラ、紙芝居といった遊びや、赤ん坊を背負う母親など親子の愛情がテーマの力作約40点が並ぶ。
 子どもたちのささいな出来事を切り取った作品も多い。取っ組み合いのけんかをする少年少女、学校帰りにじゃんけんで負けてかばんを持つ男の子-。登場人物の声が聞こえてきそうな臨場感あふれる作品が見る人の心をつかんでいる。
 「作品の子どもたちは自然の中で生命力にあふれている。団塊の世代にとっては琴線に触れるものがあるようで、涙を拭う方もいる」と学芸員の海野一徳さん(48)。作品の時代と比較し、どこか閉塞[へいそく]感のある現代への問いかけも感じるという。
 藤枝市制施行70周年に合わせた特別展で、6月9日まで。休館日は毎週月曜と5月7日。4月20日~5月6日は開館する。
 (生活報道部・伊藤さくら) 都内…懐かしい生活風景展示 昭和20~30年代の雰囲気を伝える台所=東京都大田区の昭和のくらし博物館  都心の騒々しさを離れ、東京都大田区の住宅街に静かにたたずむ「昭和のくらし博物館」。昭和26(1951)年に建てられた一般の住宅を、中の家財道具ごと公開し、昭和20~30年代の生活風景を今に伝えている。「当時を知るシニアはもちろん、小中学生からも『懐かしい』という感想が聞かれます」と、同館学芸員の小林こずえさん。
 1階では、ちゃぶ台のある居間や台所、書斎などを、当時の雰囲気そのままに再現して展示。シニア世代に特に人気なのが「アルミ製のお弁当箱」といい、「『自分もこれを持っていた』という思い出話で盛り上がります」と語る。2階では不定期で企画展が開催され、企画に合わせた「障子貼り体験」や、井戸水と洗濯板を使った洗濯ワークショップなどのイベントも好評だ。
 小林さんは昭和前半の暮らしについて「現代に比べて家事労働に費やした時間が圧倒的に長く、女性の負担が大きかった」としつつ、「その分、近所付き合いをはじめとする人間関係が濃く、困ったときは助け合うのが当たり前。食事や日用品も、必要な物を必要な分だけ使用する、ある意味理想的な暮らし方ができていた」と、その魅力を語る。

駄菓子屋の景品も資料…愛知 街角の様子を再現(昭和日常博物館提供)  愛知県北名古屋市の「昭和日常博物館」は、約15万点のコレクションを誇る、公立では珍しい昭和30~40年代専門の博物館。地域の歴史民俗資料館としてスタートしたが、昭和から平成に時代が切り替わって間もない1993年に、昭和に関する企画展を開催したところ予想以上の反響があり、昭和資料の収集を本格的に開始。一般家庭で使われていた家電製品や生活雑貨、駄菓子屋の景品など、「資料として価値があるとは認知されておらず、ごみとして捨てられてしまっていたもの」を、積極的に集めて展示している。
 館長の伊藤明良さんは「昭和30年代は、どんどん新しい物や流行が生まれてライフスタイルが急激に変化した時代。今の私たちの暮らしの元になっている部分も多く、昭和の暮らしを見詰めることで、現代社会について考えるきっかけにしてもらえれば」と話している。

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