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テーマ : 藤枝市

「夢と元気届けタイ」学生たい焼き屋1周年 76歳店主から継承

 週末になると静岡市葵区梅屋町の一角に開くたい焼き専門店「さち」。げんちゃん・せんちゃんの愛称で客から親しまれる店主の益子元輔さん(22)と桜井泉太朗さん(22)は、平日は学業に励む現役大学生だ。「多くの人に夢や元気を届けたい」と奮闘する2人の店は地域住民に愛され、昨年11月に1周年を迎えた。

笑顔で接客する店主の益子元輔さん(右)と桜井泉太朗さん=昨年12月、静岡市葵区
笑顔で接客する店主の益子元輔さん(右)と桜井泉太朗さん=昨年12月、静岡市葵区
丸い形が特徴のたい焼き=静岡市葵区
丸い形が特徴のたい焼き=静岡市葵区
笑顔で接客する店主の益子元輔さん(右)と桜井泉太朗さん=昨年12月、静岡市葵区
丸い形が特徴のたい焼き=静岡市葵区

 「キッチンカー、やってみたいね」。きっかけはこんな会話。同時期に、藤枝市で10年間営まれていたたい焼き屋「寿々(すず)」のレシピや金型の引き継ぎ先を探していると聞き「守らせてください」と名乗りを上げた。特注の丸いたい焼き型がこだわりだったという寿々の店主鈴木齊[ひとし]さん(76)は「愛着のある型を引き継いでくれてうれしい」と相好を崩す。
 車も大学の先輩から譲り受け、順調な開業と思われた。ただ、客足はなかなか伸びなかった。SNSを使って開業までのエピソードをユニークに伝えたり、来店客に親近感をアピールしたりすることで、徐々にファンを増やしていった。
 店の1番人気はつぶあんだが、試行錯誤を繰り返したカスタードとチョコも自慢の味。外はサクサクで、中はもちもちなたい焼きの生地に最も合う材料の比率を2人で日夜考えた。
 静岡大教育学部に通う2人。店名の「さち」には夢を持つ子どもたちにたい焼きを通して幸せを届けたいという思いを込めた。「まあるいたい焼き専門店 さち」を略した「まるさち」の愛称でも親しまれる。
 商品を渡す時には、「お~、まるさち!」と言いながら両手の指で小さなハートをつくる。どんなに忙しくても欠かさないお客さんとの大切なコミュニケーションだ。2歳の長女と休日の散歩ついでに訪れるという桾沢泰成さん(38)=同市駿河区=は「お店に来て2人と話すと元気をもらえる」と目を細める。子どもの笑顔を見たくて始めた店は、今や老若男女に幸せを与える存在となった。
 大学4年生の2人は3月の卒業後、それぞれ別の会社に就職し、店の切り盛りは後輩に引き継ぐという。「右も左もわからないところから多くの学びを得た。諦めず続けたことに意味があったと思う。自信を持って次のステップに進みたい」。夢ある若者は未来を見据え成長を続ける。
 (社会部・鈴木志穂)

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