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テーマ : お酒・ビール

3Dプリンター活用 金属積層造形事業を強化 東金属産業(沼津)

 金属加工業の東金属産業(沼津市大岡、田中健太郎社長)は、「金属3Dプリンター」を活用して、切削や溶接なしで複雑な形状の金属部品を形作る「積層造形事業」を強化している。高機能化や軽量化を実現できるのが特徴。次世代自動車や航空宇宙など多様な業界で金属3Dプリンター活用への注目が集まる中、現在は全体の1割程度にとどまる関連事業の売上高を、5年後までに4倍以上に増やす。

工場内で稼働する金属3Dプリンター=沼津市大岡の東金属産業
工場内で稼働する金属3Dプリンター=沼津市大岡の東金属産業
金属3Dプリンターで製作した造形物
金属3Dプリンターで製作した造形物
工場内で稼働する金属3Dプリンター=沼津市大岡の東金属産業
金属3Dプリンターで製作した造形物

 試作品や最終製品向けの受託加工から、設計や生産工程見直しといったものづくりの付加価値を高める提案まで、事業の幅を広げている。航空や宇宙業界、レース用二輪、企業や大学との研究案件などを通じて経験を蓄積し、現在は金属3Dプリンター5台を稼働。半導体装置など産業機械向けが事業の約4割を占めて伸長している。航空機エンジンや観測衛星、大手自動車メーカーやサプライヤーが手がけるEV関連部品、産業機械分野で冷却性能を高めるため流路を最適に配置した部品など、先端分野での積極的な活用相談も増えている。
 鋳造から機械加工、組み立てまで一貫生産する同社が金属3Dプリンターを導入したのは2014年。液晶パネルや半導体の製造装置などに使う特殊材料(MMC材)の鋳造や難削材加工に強みを持つ一方、次世代を見据えた新事業構築を模索していた。製品開発のスピードアップや省力化、変種・変量生産に対応でき、材料や輸送のコスト減にもつながる同プリンターに着目し、県内でも先駆け的に活用を進めた。当初は従来工法との比較を目的にした設計見積もりの依頼が多かったが、現在は金属3Dプリンターの活用を前提とした設計や製造工程全体の見直しなど、包括的な内容に変化しているという。
 田中社長は「脱炭素への貢献や効率的な働き方など現代にマッチした技術。今後も企業の依頼を超える提案力の向上に努める」と強調する。
 (浜松総局・山本雅子)

 <メモ>金属3Dプリンターは、3次元データを元に断面形状を積層し、立体造形する。従来の切削や成形ではできなかった高性能な複雑形状の構造を形作ることができ、欧米や中国などで普及が進む。県は県内企業への利活用促進へ、浜松工業技術支援センター(浜松市北区)に金属3Dプリンターを設置し供用を開始。1月下旬にはスズキやヤマハ発動機、部品メーカーなどが参画し、利活用策や情報交換を目的にした産官学の積層造形技術協議会を設立。今後セミナーやワークショップ開催を促進する。

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