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テーマ : お酒・ビール

スワンレイクビール(新潟県阿賀野市) 磨いた技術 世界が評価 変わらぬレシピと熱意【クラフトビール群雄割拠 静岡/山梨/長野/新潟⑧】

 静岡、山梨、長野、新潟4県の県紙が、地元のクラフトビールを紹介するこの連載。新潟県の2カ所目は、自然豊かな阿賀野市の「スワンレイクビール」を取り上げる。阿賀野川の伏流水と、非加熱・無ろ過による醸造。世界に認められた味わいは、多くのファンを魅了している。

瓢湖屋敷の杜ブルワリーでの仕込み作業=新潟県阿賀野市
瓢湖屋敷の杜ブルワリーでの仕込み作業=新潟県阿賀野市
醸造所に飾られている、ビール品評会で獲得した盾やメダル
醸造所に飾られている、ビール品評会で獲得した盾やメダル
「ポーター」
「ポーター」
新潟県阿賀野市 スワンレイクビール
新潟県阿賀野市 スワンレイクビール
瓢湖屋敷の杜ブルワリーでの仕込み作業=新潟県阿賀野市
醸造所に飾られている、ビール品評会で獲得した盾やメダル
「ポーター」
新潟県阿賀野市 スワンレイクビール


 白鳥の渡来地として全国的に有名で、ラムサール条約登録湿地でもある瓢湖。ピーク時には5千羽を超え、「白鳥の湖」とも呼ばれる。瓢湖から2キロほど先にある豪農の屋敷「五十嵐[いからし]邸」の敷地に、「瓢湖屋敷の杜[もり]ブルワリー スワンレイクビール醸造所」が立つ。
 足を踏み入れると、ガラスの向こうに醸造設備が並ぶ。「仕込みのある日は分刻みで作業をしていて、時間との勝負」と醸造部長の渡辺康一さん(47)。開業当初からビール造りを担う。
 醸造所は1997年に開設。渡辺さんらは米国人ブルワーのエド・トリンガリ氏の指導を受けるなどして技術を磨いた。しかし当時はEC(電子商取引)サイトが少なかった時代。価格や賞味期限もネックとなり、「造っても、売る先がない」(渡辺部長)という日々が続いた。
 転機が訪れたのは、2000年。米国で開かれた世界最高峰の審査会「ワールドビアカップ」で、黒ビールの「ポーター」が最高賞の金賞に輝いた。小さなクラフトビールメーカーによる日本初の金賞は、業界を驚かせた。その後も国内外の審査会などに参加し、獲得したメダルは金、銀、銅合わせて159個に上る。
 定番商品はポーターのほか、新潟産コシヒカリを含んだ下面発酵(ラガー)ビールの「越乃米[こしのまい]こしひかり仕込み」など5種。蜂蜜やカボチャ、イチゴなどを使った季節感あふれる限定商品もファンを楽しませている。地域循環事業として、地元産小麦を使ったビールの製造にも挑戦。原材料の一部に使用し、ドライ感がありフルーティーな味が特徴の「アガノセゾン」を夏季限定で販売している。
 レシピは創業当時とほぼ変わらない。「新潟から挑戦」「新潟から世界へ」を掲げて取り組んできた造り手の思いも一緒だ。渡辺部長は「関西や九州にも売り込みたい」と意気込む。
 明治・大正期に建設された五十嵐邸は、レストランやパーティー会場などにも利用される。地元の食材とともに、白鳥を冠したビールが彩りを添える。
 (新潟日報社)

 この1杯 「黒」苦手な人にも
 「ポーター」
 世界のビール審査会「ワールドビアカップ」で金賞に輝き、スワンレイクの名を知らしめた黒ビールの「ポーター」。主力商品の中でも、長年高い人気を誇っている。
 数種類のスペシャルモルトを使用。クリーミーな泡と香ばしい苦みが特徴で、「黒ビールの中でも飲みやすく、万人受けする味」と渡辺醸造部長。黒ビールが苦手という人にも飲んでもらいたいという。ラベルの下部には、ブランドの象徴である白鳥のイラストがあしらわれている。  ◇  スワンレイクビール(瓢湖屋敷の杜ブルワリー) 飲食事業や冠婚葬祭運営を手がける「天朝閣」(阿賀野市)が1997年に創業。東京でも飲食店を展開する。新潟県阿賀野市金屋345の1。<電0250(63)2000>

 <月1回掲載します。参加社は静岡新聞、山梨日日新聞、信濃毎日新聞、新潟日報です>

 

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