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テーマ : お酒・ビール

九州焼酎、海外発信に注力 桜や栗でたる造り、熟成も 京都の専業メーカー【スクランブル】

 国内唯一の洋酒だる専業メーカー、有明産業(京都市)が、桜や栗といった珍しい国産材を使って「メード・イン・ジャパン」をアピールし、九州の酒蔵と焼酎を熟成させたリキュールも開発、海外発信に力を入れている。「焼酎がたるを通じ、海外でもなじみがある酒になってほしい」と挑戦している。

コメを原料とする熊本県の球磨焼酎のリキュール「タルスキー」(有明産業提供)
コメを原料とする熊本県の球磨焼酎のリキュール「タルスキー」(有明産業提供)
国産の桜の木で造ったたるで焼酎を熟成させた「樽蔵」(有明産業提供)
国産の桜の木で造ったたるで焼酎を熟成させた「樽蔵」(有明産業提供)
内側を焦がす工程で火柱を上げるたる=10月、宮崎県都農町
内側を焦がす工程で火柱を上げるたる=10月、宮崎県都農町
有明産業都農工場の奥平将一朗工場長=10月、宮崎県都農町
有明産業都農工場の奥平将一朗工場長=10月、宮崎県都農町
内部を炭化させるため、たるを焦がす従業員=10月、宮崎県都農町
内部を炭化させるため、たるを焦がす従業員=10月、宮崎県都農町
内部を炭化させるため、たるを焦がす従業員=宮崎県都農町(有明産業提供)
内部を炭化させるため、たるを焦がす従業員=宮崎県都農町(有明産業提供)
完成したたるに欠陥がないかを確認する従業員=10月、宮崎県都農町
完成したたるに欠陥がないかを確認する従業員=10月、宮崎県都農町
コメを原料とする熊本県の球磨焼酎のリキュール「タルスキー」(有明産業提供)
国産の桜の木で造ったたるで焼酎を熟成させた「樽蔵」(有明産業提供)
内側を焦がす工程で火柱を上げるたる=10月、宮崎県都農町
有明産業都農工場の奥平将一朗工場長=10月、宮崎県都農町
内部を炭化させるため、たるを焦がす従業員=10月、宮崎県都農町
内部を炭化させるため、たるを焦がす従業員=宮崎県都農町(有明産業提供)
完成したたるに欠陥がないかを確認する従業員=10月、宮崎県都農町

 高さ約1メートルのたるの内側で火柱がパチパチと音を立てていた。同社が工場を置く宮崎県都農町。内部を炭化させ、木材の成分を抽出しやすくする重要な工程だ。酒の種類や外気温に応じ焼く時間も調整する。
 奥平将一朗工場長(33)は「酒に付加価値を付けることができて誇りだ」と胸を張る。
 桜の木で造ったたるに入れた酒は桜餅のような香りがし、ミズナラや杉も利用する。たる材として主流のアメリカンホワイトオークに比べ、国産材は水漏れしやすく、折れやすいため曲げる加工が難しいといった課題を克服した。
 「われわれが提供するのは味わいや香り。日本ならではのものが求められると考えた」と坂本賢弘営業部長(46)。海外顧客の評判は良く、たるの側面とふたで異なる材料を使ってほしいとの注文もある。
 こうしたノウハウを生かして約10年前から酒造りにも関わる。背景にあったのは焼酎業界への危機感。国内は人口減少と若者の酒離れで市場縮小が避けられないにもかかわらず、ほとんど輸出していなかった。坂本さんは「酒造会社があってたる屋が成り立つ。海外に日本の酒を伝えたかった」と当時を振り返る。
 そんな中で取引先を訪問した際、10~15年と長期熟成された焼酎が目に入った。味や香りはまるでウイスキー。ただ焼酎は酒税法の規制により色の濃さが決まっており、濃い琥珀色になった焼酎は販売できず、コスト面からわざわざ色を薄める作業を断念していた。
 有明産業は長く熟成された焼酎を商品化できないかと試行錯誤。コメを原料とする熊本県の球磨焼酎のリキュール「タルスキー」を地元酒蔵と開発し、インターネットなどで販売している。
 将来的には、九州各地の焼酎で同様の商品化構想を温める。これを実現し、手に取った海外の人に日本に足を運んでもらうため、いかに独自の味わいを生み出していくか研究を重ねる。坂本さんは「国産木材のたるを増やし、新商品で海外に展開する役に立ちたい」と話している。

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