あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : お酒・ビール

秋田の蔵元集団・NEXT5休止 日本酒共同醸造の先駆け

 5人の蔵元による日本酒醸造グループとして有名な秋田県の「NEXT5」が2月、14年弱の活動を休止した。技術を持ち寄って一つの酒を造る「共同醸造」が業界の先駆けとなった中堅・若手のメンバーも、今では熟練の域に。「それぞれの蔵で個性的な酒を造りたい」と、活動に区切りを付けることにした。

秋田市で締めくくりのイベントを開いた「NEXT5」のメンバー。中央は秋田醸造の小林忠彦社長=10日
秋田市で締めくくりのイベントを開いた「NEXT5」のメンバー。中央は秋田醸造の小林忠彦社長=10日

 結成は2010年。各社の業績が低迷し「体力がない蔵からつぶれていく」と危機感を抱いたのがきっかけだった。グループの代表を務める秋田醸造(秋田市)の小林忠彦社長(62)は「大きな反響を呼ぶとは思っていなかった」と振り返る。
 5人は経営者であるのと同時に杜氏でもあったため「共同戦線で酒のレベルを上げて生き残ろう」と勉強会を開く。醸造方法を秘伝とすることが多い業界では珍しい取り組みで、これが共同醸造につながった。
 試みは大成功。5人の酒は話題となり、新作を発表すれば予約だけで完売した。他県に後進グループが生まれ、現代芸術家や漫画とコラボした新製品は、日本酒ファン以外からも注目された。
 だが人気が高まるにつれてそれぞれが多忙に。共同醸造も「同じことを繰り返しても意味がない」との考えで一致し、活動休止を決めた。
 秋田市で2月10日に開いた締めくくりのイベントには、県内外のファン約300人が集まった。活動休止に合わせて仕込んだ共同醸造酒「THE FINAL 2024」は新政酒造(秋田市)の特約店で、時期は未定だが発売予定だ。
 小林さんは5人での活動について「酒の質は高まり、日本酒ファンも掘り起こせた」と満足げに話した。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

お酒・ビールの記事一覧

他の追っかけを読む