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テーマ : お酒・ビール

エチゴビール(新潟市西蒲区) 国内第1号、業界けん引 缶入り製造の先駆け【クラフトビール群雄割拠 静岡/山梨/長野/新潟④】

 静岡、山梨、長野、新潟4県の県紙がリレー形式で地元のクラフトビールを紹介する連載企画「クラフトビール群雄割拠」。4回目は新潟日報が、国内第1号のクラフトビール醸造所として誕生した「エチゴビール」を取り上げる。

熟成タンクから注がれたビールの品質を確かめる佐々木正幸工場長=新潟市西蒲区
熟成タンクから注がれたビールの品質を確かめる佐々木正幸工場長=新潟市西蒲区
定番商品「スタウト」を缶に詰める工程
定番商品「スタウト」を缶に詰める工程
エチゴビール
エチゴビール
熟成タンクから注がれたビールの品質を確かめる佐々木正幸工場長=新潟市西蒲区
定番商品「スタウト」を缶に詰める工程
エチゴビール

 新潟市中心部から車で約40分。越後平野に工場を構えるのが、エチゴビールだ。「海外のビールを故郷の新潟から全国へ広めたい」-。かつて欧州で演劇家を務め、現地で多様なビール文化に触れた創業者の思いから、日本のクラフトビールの歴史は幕を開けた。
 1994年の酒税法改正で、年間最低製造量が大幅に下がったことを受け、翌95年2月、醸造設備とレストランが一体の施設「ブルーパブ」が旧巻町(現・新潟市西蒲区)に開業した。アンバーエールやペールエールなど、バラエティー豊かなビールを製造し、観光客であふれかえった。
 現在の本社工場となる量産型工場が99年に稼働。現在は24キロリットルの発酵タンク12本を有するなど、国内クラフトビール醸造所としては最大級という生産設備で、出荷量も約3400キロリットル(2021年度)に達する。
 缶ビールの製造や全国流通にも先駆けて挑んだ。缶のラインアップは徐々に増え、7種の定番商品を展開する。中でも地域に根ざした商品として01年、県産コシヒカリを使用した「こしひかり越後ビール」が産声を上げた。
 コシヒカリは20%ほど使用。原料の最適な配合比率を見つけ出すのに試行錯誤を重ねたどり着いた一本で、大手メーカーのように、コメを下処理する専用のライスクッカーがない中、煮沸釜など既存の設備を生かして生産している。佐々木正幸工場長(62)は「小規模醸造所としては、こうしたコメを使ったビールは多くなかったと思う。手間もかかり、最初に作った人たちは相当苦労したはずだ」と思いを巡らす。
 スッキリとしたのどごし、コメの風味が特徴で、同社の輸出商品の中核を担うまでになった。和食に合う一本として、米国の日本料理店でも親しまれている。
 ビール市場は縮小傾向にある中、クラフトビールの先駆者として、市場のさらなる活性化を目指す。阿部誠社長(56)は「新しいスタイルのビールを全国で広めていくという、創業時からの信念は変わらない。多くの人に受け入れてもらえる商品づくりを今後も進めていく」と意気込む。(新潟日報社)

この1杯 爽やかな香り 人気
「のんびりふんわり 白ビール」
 主力の缶製品の中で現在、断トツの人気を誇るのが、小麦麦芽を原料に使いフルーティーで爽やかな香りが特徴の「のんびりふんわり白ビール」だ。
 2011年発売の「ホワイトエール ヴァイツェン」が原型。使用酵母を変更し、オールモルトにしてヴァイツェンらしさをより強調した。クマがくつろぐかわいらしいパッケージにして20年に発売し、売り上げを6~7倍に伸ばした。阿部社長は「女性など、今までとは違ったターゲットにも刺さった」と手応えを語る。
           ◇
 エチゴビール 1995年創業。新潟市西蒲区松山2。電<0256(76)2866>。

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