記者コラム「清流」 ふるさとの“逆襲”
地域で暮らす弊紙記者にはいくつか「ふるさと」がある。中でも、支局長の自覚に目覚めた御殿場支局での3年半は記者人生の根幹を成している。
2021年の選挙応援演説で川勝平太知事が「御殿場にはコシヒカリしかない」と発した当時、怒りと同時に離れて数年たつ北駿地域への愛着がうずいた。
問題が長期化する中、知名度の低かった特産品は結果的に全国区になった。知事に御殿場コシヒカリで醸した日本酒を届け、イベントで新米を食べさせるなど、問題発言を逆手にとった御殿場のたくましさは誇らしく、胸がすく思いだ。
県議会9月定例会で給与減額条例案が可決し、知事が望んだペナルティーは実現する。しかし、知事ができる唯一の罪滅ぼしは、御殿場の活性化のために魅力を発信し続けることだろう。
(政治部・青島英治)