あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : お酒・ビール

ストロング系缶酎ハイ 度数8%以上は発売せず 健康志向、戦略的撤退も【やわらかゼミ】

 ビール大手がアルコール度数8%以上の缶酎ハイの新商品を今後発売しない方針だという記事を読んだ大学3年生の茂さん。スーパーに勤める姉の由理子さんに聞いた。

(イラスト 清水紗羅巳)
(イラスト 清水紗羅巳)


  どこが新商品の発売をやめるの。
 由理子 アサヒビールとサッポロビールだよ。2社は現在9%の商品を扱っている。
 茂 9%の商品は何か特徴があるの。
 由理子 缶酎ハイは同じブランドなら度数が高くても値段が変わらないし、酒税の税率がビールより低い。だから「安く酔える」として高アルコール商品が人気だったんだ。度数が9%程度のものは「ストロング系」と呼ばれることもある。
  なぜやめるの。
 由理子 サッポロの野瀬裕之社長は「健康志向の高まりもあって高アルコールはニーズが弱まっている」と話した。調査会社によると、ハイボールを含めた缶酎ハイの市場は拡大傾向にあるけれど、8%以上に限ると2017年に43%だったシェアが、23年は26%まで減少した。
  健康志向とは。
 由理子 飲みやすく、摂取量が増えやすいストロング系はアルコール依存症などにつながりやすいという指摘が以前からあった。新型コロナウイルス禍が長引いた中で生活を見直し、お酒や糖質を制限する人が増えたと話す人もいる。
  9%酎ハイに含まれるアルコールはどれくらいなの。
 由理子 9%で500ミリリットルの酎ハイに含まれるアルコールは36グラムになる。こうした純アルコール量に着目するのが重要だと政府のガイドラインは呼びかけているわ。疾患別に発症リスクを例示していて、大腸がんは1日当たり20グラム以上でリスクが高まるとしている。1本で超過しちゃうね。男性の前立腺がんも20グラム以上、女性の乳がんは14グラム以上だって。
  アサヒとサッポロ以外は、どうするの。
 由理子 キリンビールとサントリーは現時点で決まった方針はないとしている。だけど今回、新商品を発売しない方針を決めたアサヒとサッポロも、今売っている商品までやめるとは言っていない。この2社はこれまでにストロング系の商品数を大きく減らしてきたから、事業戦略として撤退を考えていると受け取ることもできそうね。
 酒造会社の社長からは「物価高の中、安く酔えるお酒の需要はしっかりある。重要なのは飲み方なので特定の濃度を問題視するのは違和感がある」という声も聞いたわ。
  どんなお酒でも飲む量や飲み方が大事ってことだね。会社に入って失敗しないよう気をつけよう。
 由理子 まずは就職できるよう頑張ろう。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

お酒・ビールの記事一覧

他の追っかけを読む