プリゴジン氏死亡か、搭乗機墜落 ロシア情報機関の関与示唆
ロシア非常事態省は23日、小型ジェット機がモスクワ北西のトベリ州内で墜落し、乗客乗員10人全員が死亡したとみられると発表した。航空当局は、6月に反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの創設者エブゲニー・プリゴジン氏(62)の名前が搭乗名簿にあると明らかにした。タス通信が伝えた。ワグネル関係者が管理しているとみられる通信アプリ、テレグラムの「プリゴジン2023」は、プリゴジン氏が同機に乗っており遺体が確認されたと投稿した。
投稿は、同氏が「ロシアの裏切り者」の犠牲になったとし情報機関の関与を示唆したが、具体的な根拠は示していない。
小型機はモスクワからロシア北西部サンクトペテルブルクに向かっていた。プリゴジン2023の投稿によると、ロシア軍出身のワグネル幹部ドミトリー・ウトキン氏も共に死亡した。連邦捜査委員会は、安全規則違反の疑いで捜査していると発表した。
ロシア紙RBK電子版は治安筋の話として、外部からの要因も含めて事故原因を調べていると報じた。
プリゴジン氏はレストランの経営などで財を成し、2014年にワグネルを創設した。昨年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻に部隊を派遣したが、ショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長らロシア軍側と対立。2人の解任を要求して今年6月23日に反乱を起こし、ロストフナドヌーにある南部軍管区司令部を占拠した。
翌24日にモスクワに向け進軍したが、ベラルーシのルカシェンコ大統領の説得で反乱を中止した。
プーチン大統領は当初「裏切り」とプリゴジン氏を非難したが、反乱収束後に大統領府で会談するなど、妥協に転じたとみられていた。
ワグネル戦闘員の一部はその後、ベラルーシで同国軍の訓練に当たっていたが、プリゴジン氏の所在ははっきりせず、今月21日にはアフリカにいるとする動画を通信アプリに投稿していた。(共同)
エブゲニー・プリゴジン氏 61年、ロシア北西部レニングラード(現サンクトペテルブルク)生まれ。ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者。90年にホットドッグの屋台を始め、食品販売やレストラン経営を手がける企業のオーナーとなった。00年代初頭、レストランに足を運んだプーチン大統領と親しくなり「プーチン氏の料理人」の異名を持つ。(共同)