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テーマ : 牧之原市

静岡県内観光「逃せぬ夏の商機」 コロナ5類移行後 初の長期休暇シーズン 挽回に全力、被災地域は勢い欠く

 新型コロナウイルスの5類移行後初の夏休みシーズンに入り、静岡県内の観光・宿泊事業者が商機を逃すまいと誘客対策を強化している。社会経済活動の正常化に伴い国内レジャー需要は回復基調で、訪日外国人客も急増。全国の観光地との激しい競争の中、各事業者はコロナ禍からの挽回に全力を挙げる。一方、昨年の台風15号の影響で客足が完全に戻らない観光地もあり、復調度合いに地域格差も見られる。

マウンテンバイクのツアーなどの独自企画が、訪日客の人気を集める「ロッジ・モンド」=7月中旬、西伊豆町
マウンテンバイクのツアーなどの独自企画が、訪日客の人気を集める「ロッジ・モンド」=7月中旬、西伊豆町


 西伊豆町の宿泊施設ロッジ・モンドには、政府の水際対策が終了した4月末以降、海外からの予約が集中し、7月の客数は前年同月比4割増に。山林を走るマウンテンバイクのツアーや、駿河湾でのカヤックフィッシングといった独自の体験型企画が人気でフランスやドイツなどの外国人客が全体の2割を占める。
 複数言語に対応するウェブページの構築に加え、企画の拡充、ウェブ検索での上位表示を目指したブログ更新など、コロナ下で準備を重ねてきた。松本潤一郎代表は「ここからが本番。世界的に人気が高い自然を活用したアドベンチャーツーリズムに対応し、訪日客を獲得する」と意気込む。
 牧之原市の静波リゾートホテル・スウィングビーチも、海水浴目的の国内ファミリー層を中心に利用が好調で、7月の客数はコロナ前の2019年比で1割増えた。今年3月からは敷地内にキャンプサイトを新設し、アウトドア需要の取り込みも図っている。
 一方、昨年9月の台風15号で被災した川根本町の寸又峡温泉は客足に勢いを欠く。今年1月に観光名所「夢のつり橋」の通行が再開したが、大井川鉄道の部分運休継続が響き、旅館「翠紅苑」の7月の宿泊客数は依然、前年同月比約7割。同旅館の望月孝之会長は「鉄道の運休で年配客が減った上に、つり橋目的の若者には温泉場の存在を知らない人も多い」と指摘し、若年層への訴求を課題に挙げる。今後は地元事業者でつくる組合を中心にSNS発信を強化する方針。
 県立大ツーリズム研究センターの八木健祥センター長は「首都圏や北海道などに比べ、静岡県は観光客の回復が遅れている」と分析。今後の挽回策として、官民連携による多言語対応の強化、徳川家康が主人公の大河ドラマに関連する本県独自の観光資源の発信などを提言する。
 (経済部・駒木千尋)

 <メモ>観光庁が31日発表した宿泊旅行統計調査によると、本県の5月の延べ宿泊者数は前年同月比15.4%増の172万4360人。このうち外国人延べ宿泊者数は約9.6倍の7万4110人といずれも回復基調にある。

 

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