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テーマ : 牧之原市

懐かしい廃線跡楽しんで 藤枝―袋井結んだ軽便鉄道「駿遠線」 阿形さん(御前崎)がガイド本自費出版

 軽便鉄道の足跡をたどり、よみがえる人生の思い出―。かつて藤枝市と袋井市を結び、駿河湾と遠州灘に沿うように走っていた日本一長い軽便鉄道「静岡鉄道 駿遠線」を自主研究している御前崎市池新田の阿形昭さん(65)がこのほど、駅跡や廃線跡を巡るガイド本「駿遠線を歩く」を静岡新聞社から自費出版した。沿線風景の昔と今を写真で伝え、当時線路が通っていた位置などを示す地図も掲載。阿形さんは「懐かしい記憶を思い出しながら沿線散策を楽しんで」と話す。

駅跡や廃線跡を巡るガイド本「駿遠線を歩く」を自費出版した阿形さん=御前崎市
駅跡や廃線跡を巡るガイド本「駿遠線を歩く」を自費出版した阿形さん=御前崎市

 総延長64・6キロの駿遠線は藤相線(旧藤相鉄道)と中遠線(旧中遠鉄道)が合併し、1948年に池新田(御前崎市)―地頭方(牧之原市)間が開通して誕生。自動車普及の波に押されて70年に全廃するまで地域住民の生活を支えた。
 書籍の構成は大手(藤枝市)―袋井(袋井市)間までの50駅と藤相鉄道岡部線の5駅を路線順に並べ、それぞれ当時と現在の写真を比較しながら並べた。写真約260枚を使用し、駅ホームや橋脚の跡といった“遺構”も紹介。収集資料の分析に加え、現地調査を重ねて駿遠線が通っていた位置を地図上に記すなどビジュアルにこだわった。
 阿形さんは小学校の教員だった96年ごろ、授業の教材で駿遠線を扱ったことがきっかけで研究を始めた。同線に関する自費出版書籍は4冊目。発売開始以降、鉄道ファンの間では好評で、鉄道に詳しくない人でも郷土史を振り返る視点で楽しめるという。
 「誰でも電車に乗って通勤通学や買い物に出かけた体験があるはず」と阿形さん。「当時の町並みを想像しながら知的好奇心を膨らませ、本を片手に古き良き思い出を訪ねる旅に出かけてほしい」と語った。
 書籍はA4変形判68ページ。1冊1600円(税別)。
 (御前崎支局・市川幹人)

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