観光客目線で戦略を 中部未来懇話会 中部横断道効果に課題
中部未来懇話会が17日に静岡市内で開いたシンポジウムでは、2年前に静岡―山梨間で全線開通した中部横断自動車道の効果を十分に生かし切れていない本県の課題が示された。特に山梨、長野両県から県中部に向かう人の流れは限定的とみられ、情報発信や観光ニーズの把握などを戦略的に進める必要性について意見が上がった。
基調講演した県立大経営情報学部の八木健祥教授が静岡、山梨、長野3県で実施したアンケートによると、中部横断自動車道の利用者数は2年前と比べてやや減少傾向。静岡方面に向かう利用者はプレミアム・アウトレットがある御殿場エリアを目的地とするケースが多く、日帰り客が大半を占める。
パネル討論では、牧之原市でサーフスタジアムを運営する安達俊彦氏が「目的地のコンテンツと情報発信の不足」を課題に挙げ、「アウトレットに人が集まるのはネットショッピングにはないサプライズがあるから。金、時間を費やしてでも行きたくなるコンテンツを発見するのが大切だ」と述べた。静岡市を拠点に音声を使った住民主体の情報発信ツールを提供するOtono(オトノ)の青木真咲社長は「リアルをつかむためにも観光客が何を考えているか、データや対話を含めたコミュニケーションが重要になる」とし、マーケティングの視点を取り入れた観光戦略の重要性を説いた。
山梨県観光文化・スポーツ部観光推進監の小林宏至氏は山梨から見た静岡県の魅力に触れ、「海はかけがえのない憧れ。感動をもっと伝えてもらえれば、静岡や清水に行ってみたいという気持ちが出ると思う」と語った。
(経済部・金野真仁)