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テーマ : 富士市

大自在(2月21日)ウオーカブル

 日本三大だるま市と称される富士市の毘沙門天[びしゃもんてん]妙法寺の大祭に出かけた。沿道の露店から漂う香ばしい匂いや豆菓子を売る人たちの呼び込みに五感が刺激され、気持ちが浮き立つ。縁日の楽しさは歩いてこそ。
 散歩、散策、ウオーキングのブームが続く。健康維持の効果が広まり、歩くことに着目したサービスが増えた。ポイントを集めて活用する「ポイ活」のウオーキング版アプリも登場し、電子マネーと交換できたりする。
 「JR静岡駅前を人が中心となるウオーカブルな空間に整備」。静岡市が先日発表した新年度予算案にこんな記述を見つけた。静岡駅北口前の国道1号の地上横断を調査検討、とある。ウオーカブルとは「walk(歩く)」と「able(できる)」の造語らしい。国土交通省の専用サイトは「居心地が良く歩きたくなるまち」と記す。
 静岡駅周辺はお世辞にも歩きやすいと言えない。歩行者用の地下道は街中に進むにつれ暗くなる印象で、急勾配の階段も残る。体が不自由な人や地理に詳しくない来訪者は特に不便だろう。
 付近は1960年代、モータリゼーションの進展に伴い交差点や地下道の整備が本格的化した。交通事故や渋滞が深刻、と当時の新聞は報じる。安全優先は論をまたないが、街中に人が歩き、集う機能がしぼんだことは否めない。
 歩きたくなる街への変貌は歓迎だ。この間、中心市街地活性化、コンパクトシティーなどさまざまな政策が試行されてきた。行うは難し、空洞化は止まっていない。街ごと五感に訴えかける仕掛けが必要だ。

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