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テーマ : 富士市

輸送時間を圧迫 荷役や荷待ち 運転手拘束の重荷【迫る 24年問題】

 来春からトラック運転手の残業時間に上限が設けられる物流業界で、荷役作業と荷待ちの時間短縮が課題となっている。本来の輸送業務以外で生じる運転手の拘束時間は1日数時間に及ぶ例もある中、労働時間が制限されれば輸送能力の低下につながりかねない。改善の必要性を感じる業者は静岡県内にも多く、「自社努力は限界がある」として荷主の協力を訴える。

長時間労働の一因となる荷役作業。効率化に向けた動きも進む=12月中旬、富士市
長時間労働の一因となる荷役作業。効率化に向けた動きも進む=12月中旬、富士市
長時間労働の一因となる荷役作業。効率化に向けた動きも進む=12月中旬、富士市
長時間労働の一因となる荷役作業。効率化に向けた動きも進む=12月中旬、富士市
長時間労働の一因となる荷役作業。効率化に向けた動きも進む=12月中旬、富士市
長時間労働の一因となる荷役作業。効率化に向けた動きも進む=12月中旬、富士市

 県中部の業者によると、首都圏の運送先では各地から集まるトラックの渋滞は珍しくない。荷降ろしが始まるまでに1時間、その後に積み荷を降ろす作業が約1時間。同社幹部は残業規制の開始を見据え、「輸送時間を削るのは無理。どこかで作業効率化を図らないと物流維持は難しい」。同業者と中継輸送を模索するがハードルは高く、「荷役や荷降ろし待ちの短縮は避けて通れない。荷受け側の協力が不可欠」と語る。
 国土交通省が2021年に実施したトラック輸送状況の実態調査によると、「荷待ちがある」と答えた運送業者では運転手の拘束時間(点検、運転、休憩など)が平均12時間26分。このうち、荷待ち(1時間34分)と荷役(1時間29分)の合計は3時間超を占める。輸送量の減少が懸念される「2024年問題」が間近となり、各社ともに人手確保と作業効率化を急いでいる。
 こうした中、荷主側も環境改善を進める。自動車部品製造のジヤトコ(富士市)は、1日約100台のトラックが出入りする同市の物流配送拠点(Lセンター)で荷役の効率化に取り組む。各地の下請け企業から届けられる部材をパレットに載せて立方体に固定し、送り先の自社工場別に仕分けて運転手の積み荷作業をサポート。使用頻度が低い部品も出荷調整し、1回で運ぶ量を増やして輸送負担の軽減に努める。
 同社では2週間に1度、主要な物流業者2社と情報交換を行い、課題の洗い出しと改善策の検討を重ねている。担当者は「物流の効率化は双方に利点があること。課題解決に向けた荷主の役割、責任は大きい」と語る。
 (経済部・金野真仁)

作業短縮「必要」75% 静岡県内物流業者
 物流業界の2024年問題について静岡経済研究所が県内の運送業者を対象に実施した調査では、輸送能力の確保に必要な取り組みとして74.6%の企業が「荷役作業や荷待ちの時間短縮・削減」を挙げた。荷役、荷待ちは長時間労働の一因と認識され、同研究所は「物流の当事者全員で改善に取り組むことが必要」としている。
 このほか「運賃の見直し」が93.0%、「労働条件・職場環境の見直し」が87.8%、「ドライバーの採用強化」が75.6%。「荷主や関係企業との連携強化」も81.0%に上り、山積する業界課題の解決には取引先の協力が不可欠との意識が強い。

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