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テーマ : 富士市

大自在(10月20日)クリケット

 貧しい家庭に生まれた少年がプロの投手を目指して父親の特訓を受け、好敵手と切磋琢磨[せっさたくま]しながら成長していく。日本人なら往年の野球漫画「巨人の星」を思い浮かべるだろうが、インド人は10年ほど前に放映されたクリケットのテレビアニメの名を口にするに違いない。
 英国発祥で野球の原型と言われるクリケットはインドの国民的スポーツ。投手が投げたボールを打者がバットで打つ。インドのアニメ「スーラジ ザ・ライジングスター」は、「巨人の星」が原作だ。主人公の「スーラジ」はインドの公用語ヒンディー語で「太陽」の意味。英語「ライジングスター」は「新星」とも訳される。
 クリケットは、野球・ソフトボールなどとともに2028年のロサンゼルス五輪の追加競技に選ばれた。第2回五輪以来、実に128年ぶりの五輪復帰となる。
 クリケットの競技人口はサッカーに次いで多いという推計もある。インドではワールドカップが開催中。だが、日本では競技人口数千人にすぎないマイナースポーツである。
 クリケット専用の競技場も数えるほどしかないが、その一つが富士市の富士川河川敷にある。三十数年前、市内の高校で講師を務めていたオーストラリアの男性が「クリケットがしたい」と要望したのをきっかけに整備された。今では国内大会、国際交流試合の会場にもなっている。
 近年、プロ野球からクリケット選手に転身した例もある。五輪で注目度が高まれば、富士山を仰ぎながらプレーした選手の中から世界に名をはせる新星が現れるかもしれない。

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