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能登地震 小型救助車 初動入れず 発生72時間以内の活動なし 熱海土石流教訓に全国18カ所配備

 能登半島地震当日に指示を受け被災地に向かった「緊急消防援助隊」のうち、7府県の消防に配備された「小型救助車」7台が、発生72時間以内の1月4日までに活動できなかったことが9日、各消防への取材で分かった。各消防が被災地まで小型救助車を運搬する車両を持っていなかったことや、各隊で本格的な運用が開始される前だったことが主な理由という。

大規模な火災のあった石川県輪島市の「輪島朝市」付近=9日午後
大規模な火災のあった石川県輪島市の「輪島朝市」付近=9日午後

 1月5日以降も、被災地での活動は2台のみにとどまったことも判明した。小型救助車は2021年の熱海市の土石流災害で救助・捜索活動が難航したことを教訓に、悪路でも走行できるように導入。総務省消防庁は23年になって18カ所の消防に無償貸与したが、広域応援における課題が浮き彫りとなった。
 消防庁の担当者は「小型救助車は自ら走行して被災地へ向かう考えで配備した。各消防に運用を確認し、今後検証することになる」としている。
 各消防によると、自走可能だが、最高時速が70キロ程度で高速道路の走行に課題があり、燃費も悪いため現場までは運搬車が必要になる。メーカーも四輪駆動のオフロード車をベースとしており、高速道路の走行は想定せず、運搬車の利用を前提に納入したとしている。
 1月1日に派遣指示があった11府県の緊急消防援助隊のうち、7府県の消防に配備されていたが、4日までに石川県内での活動はなかった。各消防によると、被災地近くまでの運搬車を用意できなかったことが要因。車両はあっても重機運搬を優先したケースもあった。「本格的な運用開始前だった」「(消防庁から)出動要請がなかった」と回答した消防もあった。
 その後、群馬県大隊の前橋市消防局と岐阜県大隊の恵那市消防本部の2台が出動。前橋市消防局は、第2次隊から所有する車両に載せて被災地近くに運び、1月5~9日に石川県輪島市で人員や資機材を輸送した。
 恵那市消防本部は運搬車がなく、岐阜県がレンタカーを用意し被災地に運んだ。1月7~9日に輪島市などで活動した。

 小型救助車 総務省消防庁が、熱海市の土石流災害を踏まえ、迅速な人命救助活動ができるよう導入した。30度程度の上り坂や水深約40センチまでの走行が可能で、岩や土砂の障害物が多く、急傾斜の地形で大型車が入りにくい場合などの活用を想定する。全国6ブロックに約3台ずつ配る計画で計18台を計約3億4650万円で調達し、2023年に18カ所の消防に無償貸与した。23年度中に各ブロックに1台ずつ計6台の追加配備を目指す。

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