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能登地震 農業施設被害 1000件超 石川県 復旧長期化も

 能登半島地震による石川県の農業関連のインフラ被害が千件を超えることが県のまとめで14日、分かった。県内の多くの自治体で田畑や農道に亀裂が生じたほか、水路の崩壊も確認されている。半島北部の奥能登地域は道路の寸断などで調査が滞っており、今後被害の拡大や復旧作業の長期化などの懸念がある。

石川県輪島市の亀裂が生じた畑=13日
石川県輪島市の亀裂が生じた畑=13日
石川県の農業関連のインフラ被害
石川県の農業関連のインフラ被害
石川県輪島市の亀裂が生じた畑=13日
石川県の農業関連のインフラ被害

 石川県によると、農業被害は13日時点で農地が138件、農道が307件、水路が258件確認された。金沢市や七尾市、小松市などで被害が目立つ。奥能登(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)も「相当な被害」(県関係者)が想定されるが調査が進んでおらず、現時点で穴水町の農地と水路の計2件にとどまる。
 一方、農業用ダムを含むため池は、県全体で崩壊などの被害が268件見つかった。決壊など二次被害が広がる恐れがあるため調査を優先し、把握が進んでいるという。その他に揚水機は85件、干拓地堤防は2件、地滑り防止区域では14件の被害が報告されている。また、育苗センターや出荷場、倉庫などの共同利用施設では、建屋の損壊、地盤沈下などの被害が106カ所見つかった。
 JA石川県中央会によると、地震の被害が大きい能登地域はコメ栽培が盛んで、棚田米などブランド米に取り組む地域もある。シイタケ、白ネギ、大納言小豆のほか、「中島菜」やサツマイモの「能登金時」といった能登野菜も生産している。
 海に面した棚田の風景で知られる「白米千枚田」(輪島市)や塩田での塩作りなどは「能登の里山里海」として2011年に国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に認定された。白米千枚田は現時点で県の被害集計に含まれていないもののひび割れなどが見つかっており、坂本哲志農相は復旧・復興を支援する意向を示している。
 農林水産省によると、22年の石川県の農業産出額は484億円で、このうち最大のコメが235億円と5割近くを占めた。今回の地震による農地被害は14日時点で、新潟県で26件、富山県で274件、福井県で15件確認されている。

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