【２０２３年　十大ニュース　国内】「政治とカネ」巡り震撼／ジャニーズ性加害／告発相次ぐ

　共同通信と静岡新聞社など全国の加盟新聞社の編集・論説責任者らが選ぶ今年の十大ニュースが決まった。１位は、国内が自民党派閥のパーティー裏金問題。安倍派閣僚らの事実上の更迭、松野博一前官房長官らの任意の事情聴取、そして安倍派、二階派事務所が家宅捜索された。国際はイスラエル軍のパレスチナ自治区ガザ侵攻で、いずれも国内外を大きく揺るがした。　国内２位は旧ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題、３位は新型コロナウイルス感染症の５類移行だった。４１年ぶりの物価上昇率と円安・ガソリン高が４位に。夏の酷暑、東京電力福島第１原発の処理水海洋放出、世界平和統一家庭連合（旧統一教会）の解散命令請求が続いた。　①自民派閥の裏金問題、安倍派閣僚らを更迭自民党安倍派の政治資金パーティー裏金問題で辞表を提出した４閣僚。（右上から時計回りに）官房長官を辞任した松野博一氏、経産相を辞任した西村康稔氏、農相を辞任した宮下一郎氏、総務相を辞任した鈴木淳司氏＝１２月１４日、首相官邸
　自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が発覚して拡大し、東京地検特捜部が捜査を本格化した。最大派閥の安倍派（清和政策研究会）では、幹部が関与していた疑惑が深まった。岸田文雄首相は、安倍派所属の閣僚らを事実上更迭した。同派の自民党幹部も辞職。特捜部は松野博一前官房長官らを任意で事情聴取し、政治資金規正法違反（不記載など）の疑いで安倍派と二階派の事務所を家宅捜索した。　②ジャニーズ事務所の性加害に被害の声続出ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長による性加害問題で、記者会見に臨む（左から）井ノ原快彦氏、東山紀之社長、藤島ジュリー景子前社長＝９月７日、東京都千代田区のホテル
　英ＢＢＣが３月に故ジャニー喜多川氏による性加害の証言を報道、元所属タレントらの告発が相次いだ。事務所の再発防止特別チームは長期間に及ぶ多数の性加害を認定。藤島ジュリー景子社長が辞任した。性加害について長年報じてこなかった国内メディアも批判された。　③新型コロナが５類へ移行、訪日客増加東京・浅草寺の雷門前で記念撮影する外国人観光客ら＝１１月１５日
　政府は５月、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ「５類」に引き下げた。感染者の全数把握はせず、指定された「定点医療機関」からの報告で流行動向を把握。法律に基づく入院勧告や外出自粛要請はなくなった。円安も手伝い訪日客は増加、回復した。　④物価上昇率が４１年ぶりの伸び　総務省が４月に発表した２０２２年度の生鮮食品を除く消費者物価指数は前年度比３・０％上昇。第２次石油危機のインフレに見舞われた１９８１年度以来４１年ぶりの上げ幅となった。ロシアのウクライナ侵攻を受けた資源高や円安を背景にエネルギーや食品、日用品といった幅広い品目で販売価格への転嫁が進み、歴史的高水準に。　⑤酷暑の夏、平均気温が過去最高に　気象庁は今年夏（６～８月）の平均気温が、平年を示す基準値（１９９１～２０２０年の平均）を１・７６度上回り、１８９８年の統計開始から１２５年で最も高くなったと発表した。これまでの最高は２０１０年のプラス１・０８度。８月の平均気温も２・１６度上回り、過去最高となった。　⑥福島第１原発処理水放出、中国が輸入停止　東京電力は８月、トリチウム濃度が国の基準の４０分の１未満になるよう海水で薄めた福島第１原発処理水の海洋放出を始めた。処理水は、第１原発１～３号機で溶け落ちた核燃料（デブリ）を冷やす注水のほか地下水や雨水から発生した汚染水を多核種除去設備で浄化した。２０５１年まで放出を続ける計画。中国は放出に反発、日本産水産物輸入を全面停止した。　⑦旧統一教会の解散命令請求　盛山正仁文部科学相は１０月、高額献金被害の訴えが相次ぐ世界平和統一家庭連合（旧統一教会）の解散命令請求を東京地裁に申し立てた。質問権行使で集めた資料や被害証言など約５千点、段ボール箱２０個分の証拠を提出。教団側は「民法の不法行為は解散命令の要件に当たらない」と全面的に争う姿勢を示した。　⑧将棋の藤井聡太竜王が全八冠を独占　将棋の藤井聡太七冠が１０月、京都市で指された第７１期王座戦５番勝負第４局で永瀬拓矢王座を破り、３勝１敗で王座を奪取し、史上初めて全八冠独占を果たした。１７年に過去最も多い八大タイトル戦に移行してから、初の全冠制覇。　⑨広島でＧ７サミット、ゼレンスキー氏来日　広島市で５月１９～２１日、先進７カ国首脳会議（Ｇ７広島サミット）が開かれた。Ｇ７首脳は平和記念公園内の原爆資料館を訪問した。核兵器保有国の米英仏３カ国を含むＧ７の首脳がそろって広島を訪れたのは史上初めて。岸田文雄首相は議長国記者会見で「核兵器のない世界」の理想を共有したと強調。討議にはウクライナのゼレンスキー大統領も参加した。　⑩阪神タイガースが３８年ぶり日本一　プロ野球阪神が１１月、京セラドーム大阪で行われたＳＭＢＣ日本シリーズ２０２３の第７戦でオリックスを７－１で破って４勝３敗とし、１９８５年以来２度目の日本一となった。今季就任した岡田彰布監督は主力内野手だった３８年前に続き、阪神に栄冠をもたらした。今シリーズはセ、パ両リーグで独走した２チームが一進一退の攻防を繰り広げた。３勝３敗ともつれた戦いに阪神が競り勝ち、熱狂的なファンと喜びを分かち合った。