テーマ : 気象・災害

能登地震1カ月 亡き人に「ありがとう」 悲しみ抱え 前へ 生きる 思い出支えに

 能登半島地震が発生した時刻に合わせ、がれきが残る夕刻の石川県内各地で祈りがささげられた。いつもの正月が突然奪われてから1日で1カ月。手を合わせた人々には大切な家族や友人を守れなかった後悔、安否不明者の発見への願いなどさまざまな思いが交錯した。広いエリアで断水が続き、避難生活は長引く。癒えぬ悲しみを抱え、復興へ前を向く姿も。日常を取り戻す時はいつ訪れるのか。

妻由香利さんと長女珠蘭さんが地震の犠牲となった自宅兼店舗で手を合わせる楠健二さん=1日午前、石川県輪島市
妻由香利さんと長女珠蘭さんが地震の犠牲となった自宅兼店舗で手を合わせる楠健二さん=1日午前、石川県輪島市
能登半島地震の発生時刻に合わせ、黙とうする被災者ら。右端は宮口翼君=1日午後、石川県珠洲市
能登半島地震の発生時刻に合わせ、黙とうする被災者ら。右端は宮口翼君=1日午後、石川県珠洲市
石川県穴水町の避難所で、新聞を読む女性=1日午前傾いた家などがそのまま残る、穴水町の土砂崩れ現場=1日午前輪島市市ノ瀬町の土砂崩れ現場で続く安否不明者の捜索活動=1日午前
石川県穴水町の避難所で、新聞を読む女性=1日午前傾いた家などがそのまま残る、穴水町の土砂崩れ現場=1日午前輪島市市ノ瀬町の土砂崩れ現場で続く安否不明者の捜索活動=1日午前
石川県穴水町の避難所で、新聞を読む女性=1日午前傾いた家などがそのまま残る、穴水町の土砂崩れ現場=1日午前輪島市市ノ瀬町の土砂崩れ現場で続く安否不明者の捜索活動=1日午前
石川県穴水町の避難所で、新聞を読む女性=1日午前傾いた家などがそのまま残る、穴水町の土砂崩れ現場=1日午前輪島市市ノ瀬町の土砂崩れ現場で続く安否不明者の捜索活動=1日午前
妻由香利さんと長女珠蘭さんが地震の犠牲となった自宅兼店舗で手を合わせる楠健二さん=1日午前、石川県輪島市
能登半島地震の発生時刻に合わせ、黙とうする被災者ら。右端は宮口翼君=1日午後、石川県珠洲市
石川県穴水町の避難所で、新聞を読む女性=1日午前傾いた家などがそのまま残る、穴水町の土砂崩れ現場=1日午前輪島市市ノ瀬町の土砂崩れ現場で続く安否不明者の捜索活動=1日午前
石川県穴水町の避難所で、新聞を読む女性=1日午前傾いた家などがそのまま残る、穴水町の土砂崩れ現場=1日午前輪島市市ノ瀬町の土砂崩れ現場で続く安否不明者の捜索活動=1日午前

妻子の写真が倒壊ビルの下 探したスマホ  能登半島地震に伴い、石川県輪島市で倒壊したビルの巻き添えとなる形で下敷きになった居酒屋「わじまんま」の店主楠健二さん(55)が1日、亡くなった妻由香利さん(48)と長女珠蘭[じゅら]さん(19)との思い出の写真が保存されたスマートフォンをがれきの中から探し当てた。「娘の小さい頃の写真も入っている。見つかって良かった」と安堵(あんど)の表情を見せた。
 見つかったスマホは自分と由香利さんのもの。自宅部分の3階の居間にあった机の下から出てきた。「まさかこんなところにあるなんて。妻が『ここにあるよ』と言ってくれたのかも」と言い、破れた手袋で大切に握りしめた。
 地震発生から1カ月が過ぎ、バッテリーが切れて中身は確認できない状態。「電源がついても、今は見ることができないと思う」と複雑な胸の内も明かした。
 この日は激しい風雨に見舞われた。周辺は危険のためパイロンやバーで立ち入らないよう区切られているが、健二さんは壊れた家具が散乱し、真上にビルの壁が迫る店内に入って思い出の品を探し続けていた。
 由香利さんの帽子や子どものゲーム機も発見したが、珠蘭さんのスマートフォンと由香利さんから昨年の誕生日にサプライズでプレゼントされた腕時計はまだ見つからないままだ。
 「どうしても見つけたい。そうすれば一区切りできると思う」と今後も通い続けるという。
午後4時10分 祈りと共に  能登半島地震で最大震度7の地震があった午後4時10分、被災者らは避難所や役場などそれぞれの場所で黙とうした。「今までありがとう」「助けられず、ごめん」。犠牲者を悼み、思いをはせた。
 1日は朝から断続的に雨や雪が降り、厳しい冷え込みに。津波警報を思い出すことで苦しまないようサイレンは流れず、防災無線などでの案内に合わせ、多くの人が祈りをささげた。
 大きな被害を受けた石川県珠洲市。避難所になっている市立宝立小中では、20人ほどが校外に出て冷たい風に吹かれながら、津波被害のあった鵜飼地区の方角を向いて、頭を下げた。同校小4の宮口翼君(10)は「亡くなった知っている人に今までありがとうと気持ちを込めた」と話した。
 自宅が被災した同市の女性(75)は「みんなこれからどうするのか分からない。この辺の人と一緒でなければ他へ移るのも気が進まない」と寂しげにつぶやいた。
 大規模な火災が起きた同県輪島市の輪島朝市の焼け跡では、関係者13人が集まって黙とうした。朝市組合の冨水長毅組合長は「なんとかこの輪島で朝市を復活させたい」と語った。数珠をつけ手を合わせていたのは親戚を亡くした東克典さん(67)。「つらいです。無念。なんで正月だったのか…。まだ整理が付かない」と涙ぐんだ。

いい茶0

気象・災害の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞