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能登地震 安否不明急増323人、死者168人 積雪で捜索難航 政府、激甚災害指定へ

 最大震度7を観測した能登半島地震の発生から1週間となった8日、石川県は、県内の死者が午後2時現在で前日から40人増の168人になったと発表した。連絡の取れない安否不明者も100人以上増えて323人となり、うち281人を輪島市の住民が占めた。同市の安否不明者は前日から195人急増。県関係者はこれまで滞っていた確認作業が進んだためとみており、今後も拡大が懸念される。
地震発生から1週間を迎え、安否不明者の捜索を行う消防隊員ら=8日午後、石川県珠洲市
 県は、火災で焼失した「輪島朝市」で、9日に100人態勢での捜索実施を決めた。
 道路の寸断などで輪島、珠洲両市を中心に少なくとも3300人以上が孤立状態にある。被災地は雪が各地で積もり、なお2万8千人以上いる避難者の支援にも影響。木原稔防衛相は、被災地の自衛隊員を約5900人から約6100人に増強したと明らかにした。
地震による死者(8日午後2時現在)
 気象庁によると、8日午後6時時点で、珠洲市で11センチ、輪島市で9センチ、七尾市で8センチ、積雪を観測。冷え込みも厳しく、朝の最低気温は七尾市で氷点下2・4度、珠洲市で同0・2度、輪島市で同0・1度だった。
 県は8日、被災者を県内外のホテルや旅館に移す「2次避難」に関し、行き先が決まるまでの一時滞在場所での受け入れを一部延期することを決めた。降雪の影響で道路状況が悪化している輪島市と珠洲市、穴水町、能登町の被災者が対象。
 一時滞在場所の金沢市の運動施設では、8日午前から受け付けが始まった。屋内に約250のテントが設置され、希望を聞いた上でホテルなどに2次避難してもらう。県は既に県内110施設を確保し、最大約3千人の受け入れが可能としている。全国の自治体からも受け入れ表明があり、馳浩知事は「避難所の劣悪な環境を少しでも改善したい」と話した。
 一方、市の人口の半数以上に当たる1万2428人が避難所に身を寄せている輪島市では、感染症拡大の懸念があり、金沢市が受け入れを検討している。県は、12日にも各地で仮設住宅の建設を始め、県営住宅などの確保も進める。

 激甚災害 週内指定へ 政府
 岸田文雄首相は8日、能登半島地震に関する非常災害対策本部会議で、激甚災害指定を巡り、地域を限定しない「激甚災害(本激)」に指定する考えを示し、閣議決定へ手続きを進めるよう関係閣僚に指示した。週内にも閣議決定する。宿泊施設を活用した2次避難先や移動手段確保の加速も必要だと指摘。国土交通省は7日時点で、新潟、富山、石川、福井4県の計73施設で、2552人の収容が可能だとの調査結果を発表した。
 激甚災害は、災害の被害額が一定基準を超えた場合に政府が指定。自治体などの復旧事業を支援する。具体的には、農地や水路、林道のほか、河川、道路、下水道などの公共土木施設や福祉施設、公立学校などの復旧事業の国庫補助率を1割程度引き上げる。被災した中小企業が事業再建資金を借り入れる際の保証を手厚くすることも検討する。
 宿泊施設の確保を巡っては、避難所に活用する際の宿泊料の基準額を、1人1泊7千円から1万円に引き上げ、石川県がホテルや旅館を借りやすくする。費用は災害救助法に基づき、国が助成する。
 首相はこのほか、2次避難や孤立集落解消、物資輸送のため、滑走路が損傷した石川県輪島市の能登空港や、沿岸部の道路の早期復旧を図るとした。
 避難所については「被災者の生活確保と災害関連死防止のためにも、環境改善は喫緊の課題だ」と強調。給水車や電源車の手配、感染症対策に全力を挙げるよう求めた。

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