テーマ : 気象・災害

防げ災害関連死 口腔ケア需要高まる 静岡県歯科医師会、石川県珠洲市に応援派遣

 能登半島地震の発生から1カ月が経過し、現地では誤嚥(ごえん)性肺炎などによる災害関連死のリスクが高まっている。過去の災害では関連死の約3割が肺炎などの呼吸器系の疾患だった。避難所で暮らす被災者の口腔(こうくう)ケアを担うため、静岡県歯科医師会は4日から歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士らを石川県珠洲市に派遣する。

歯の治療に使う資機材を積み込む歯科医師ら=1日午後、静岡市駿河区の県歯科医師会
歯の治療に使う資機材を積み込む歯科医師ら=1日午後、静岡市駿河区の県歯科医師会

 誤嚥性肺炎は、口の中の雑菌が食べ物や唾液と一緒に誤って気管支に入ることで発症する。東日本大震災では関連死の31%、熊本地震では28%が呼吸器疾患だった。能登半島地震では依然4万戸以上が断水し、歯磨きなど適切な口腔ケアができていない避難者が多い。
 県歯科医師会の平野明弘会長(67)によると、誤嚥性肺炎によってぜんそくなどの持病が悪化することもある。「口内環境が悪くなり、食事が十分に取れなければ栄養面での影響も大きくなる」と口腔ケアの重要性を強調する。
 石川県歯科医師会からの要請を受け、静岡県歯科医師会は2月に6チームを派遣する。3月も継続派遣を予定している。現地では応急的な治療や歯の掃除、入れ歯の調整などを担う。
 1日、第1陣の歯科医師と歯科衛生士が静岡市駿河区の県歯科医師会館で平野会長の激励を受け、必要な資機材を車に積み込んだ。郷里に貢献したいと派遣に立候補した金沢市出身の歯科医師村戸建宏さん(29)が資機材を積んだ車で一足先に現地へ出発した。
 東日本大震災でも支援に入った歯科医師の浅岡伸一郎さん(56)=牧之原市=は「被災者がしっかり食事を取り、少しでも健康に暮らせるよう力になりたい」と語った。

いい茶0

気象・災害の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞