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盛り土崩れ家屋被害、能登地震 複数の住宅地、耐震化急務

 能登半島地震で、住宅地の盛り土崩落が石川県内の複数地点で発生、家屋に被害が出たことが22日、自治体や専門家への取材で分かった。崩れた後に初めて自治体が盛り土と確認した例もあった。これまで大規模な盛り土の全国的な調査が行われてきたが、安全性の実態把握は途上にある。崩落の危険があれば耐震化工事が求められることになり、自治体は対応を急ぐ。

土砂崩れで傾いたカーポート=1月9日、石川県津幡町
土砂崩れで傾いたカーポート=1月9日、石川県津幡町

 自治体が盛り土崩落による宅地被害を確認したのは、七尾市と津幡町、能美市の住宅地3カ所。七尾市と津幡町は、現場一帯が一定以上の盛り土で埋められた「大規模盛り土造成地」に該当。能美市は比較的小さな盛り土とみられるが、大規模造成地に近接している。専門家の調査で、金沢市や輪島市でも盛り土起因とみられる被害が確認された。
 大規模造成地は全て危険であるわけではないが、国土交通省が所在地の公表や安全性の調査を自治体に求めている。
 七尾市では地震後に宅地が崩れ、住宅5棟が傾いたほか、下手の1棟に土砂が流入。その後の調査で、一帯が大規模盛り土造成地と判明した。市担当者は「都市計画区域での開発に許可制を導入する前の1960年代後半に造成され、盛り土の存在を把握できていなかった」と説明。住民への周知や危険性の調査をしていなかった。
 津幡町では、複数の住宅敷地が崩れ、カーポートが傾いた。町が調査の優先度を調べた結果、9段階で最も低い判定だった。担当者は「民有地のため目視が基本で、測れるリスクには限界があった」と釈明した。
 能美市では住宅2棟が一部損壊した。崩落した盛り土は過去に調査されていなかった。
 盛り土に詳しい金沢工業大の高原利幸准教授(地盤工学)によると、いずれも70年ごろに造成されており「排水機能が劣化し、滑りやすくなっている可能性がある」と指摘。別の専門家の調査で、金沢市の一部の場所でも盛り土崩落で住宅4棟が傾いたことが確認され、市は「調査中」としている。輪島市でも同様の被害が見つかっている。

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