あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 熱海市

大自在(9月25日)「四股1000回」

 大相撲の力士は、土俵に上がると仕切り前に左右交互に四股を踏む。「相撲大事典」(現代書館)によれば、四股とは「両足を開いて立ち、軸足は軽く曲げて構え、他方の足は膝を伸ばして体の側方に高く上げる」とある。
 柱に向かって突っ張りを繰り返す鉄砲とともに、相撲の基本動作の四股。「醜[しこ](強いもの、醜いもの)」に通じるといわれる。四股を踏むことは地中の邪気を祓[はら]い大地を鎮める神事から発したとされ、「地固め」とも呼ばれる。
 昭和の大横綱大鵬は、四股500回を日課にしたという。「新版 横綱の品格」(双葉山著、ベースボール・マガジン社)に寄せた一文で「上げる足より、支える足にこそ意味がある。単調で苦しいが、相撲に最適な柔らかな筋肉をつくってくれる」と語っていた。支える足に全体重を乗せて鍛え上げた下半身が、優勝32回を生んだといえよう。
 「四股を500回踏んでも成績に結びつかないなら、次は千回」。さらに上をいく言葉を残したのが、元横綱旭富士の伊勢ケ浜親方である。
 伊勢ケ浜部屋は角界有数の稽古量で知られる。場所中、他の部屋では稽古は一日10~15番とされるが、元横綱日馬富士は三段目だった頃に107番取ったという伝説も。
 「一番稽古量が多い部屋にしようと思った」とあえて厳しい伊勢ケ浜部屋に入門した熱海富士(熱海市出身)。再入幕の秋場所は決定戦で敗れ、惜しくも優勝を逃した。部屋では横綱照ノ富士や飛龍高の先輩の翠富士(焼津市出身)らにもまれる伸び盛りの21歳。基本を忘れず、次こそ。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

熱海市の記事一覧

他の追っかけを読む