進化続ける熱海怪獣映画祭 市民発案で誕生、来月6回目 「世界の愛好家 集う場に」
「熱海で『キングコング対ゴジラ』を見たい」。2018年から毎秋開催する「熱海怪獣映画祭」の発端は、JR熱海駅周辺のバーで交わされた常連客の会話だった。酒場で膨らんだ町の活性化策は、同じ年に「映画祭」として結実。通算5回の歴史を刻んだ。今年も10月の開催を控える。
1962年に作られた同作では、クライマックスで熱海市の海沿いに位置する観光施設「熱海城」が派手に破壊される。一般社団法人「熱海怪獣映画祭」の水野希世代表(同市)は「ほかにも『大巨獣ガッパ』やウルトラシリーズなど、多くの作品の舞台になっている。熱海と怪獣映画の縁の深さが映画祭開催のきっかけ」と話す。
バーでアイデアを出した市民らが実行委員会を結成し、かつて映画館があった国際観光専門学校熱海校を会場として確保。脚本家伊藤和典さん(同市)が手がけた「ガメラ2 レギオン襲来」の上映を軸に18年10月、映画祭の初開催にこぎ着けた。同作で特技監督を務めた樋口真嗣さん、1980年代にアルバム「ゴジラ伝説」を発表した音楽家井上誠さん(同市出身)、伊藤さんのトークショーも行った。資金集めのクラウドファンディングでは全国の156人から120万円超が集まり、映画祭に約300人が詰めかけた。
以後の開催では、毎年新しい試みを導入している。井上さんを中心にした特撮映画の音楽ライブ、若手クリエイターが集う「全国自主怪獣映画選手権」、怪獣映画グッズを披露するコーナー―。昨年は「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」の応援上映を行った。来場客に簡易ライトを配布し、アイドルのコンサートさながらの盛り上がりを現出させた。市内飲食店では怪獣コラボメニューが広がる。市民との接点も拡大中だ。
水野代表は運営メンバー6人と、よりよい映画祭づくりに知恵を絞る。
「『ゴジラ』はすでに世界共通語。映画祭もグローバルな展開を図りたい。怪獣愛好家は世界中にいるんだから」
(教育文化部・橋爪充)
10月7~9日開催 第6回熱海怪獣映画祭は10月7~9日、熱海市の「ホテル大野屋」「熱海芸妓{げいぎ}見番」を主会場に行う。7、8の両日は親水公園で「熱海怪獣ビール祭り」も開催。上映作品など詳細は映画祭の公式サイトで。