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テーマ : 熱海市

「愛される力士に」母の願い背に受け 熱海富士三島で成長の礎 「頑張った」大相撲新星に喝采

 大相撲の世界に飛び込んで3年。故郷への愛着をしこ名に込めた21歳の青年、熱海富士(本名、武井朔太郎)は、24日の千秋楽(東京・両国国技館)で誰よりも注目される存在だった。初優勝にはあと一歩届かなかったが、懸命な取り組みで多くのファンを魅了。花道を去る背中には「頑張った」「惜しかった」と温かな声が送られた。

三島相撲クラブに所属していた中学時代の熱海富士(右)
三島相撲クラブに所属していた中学時代の熱海富士(右)
三島相撲クラブに所属していた中学時代の熱海富士
三島相撲クラブに所属していた中学時代の熱海富士
三島相撲クラブに所属していた中学時代の熱海富士
三島相撲クラブに所属していた中学時代の熱海富士
三島相撲クラブに所属していた中学時代の熱海富士(右)
三島相撲クラブに所属していた中学時代の熱海富士
三島相撲クラブに所属していた中学時代の熱海富士

 小学2年の時、千葉県から熱海市へ移り住んだ。高学年になり参加した三島市のわんぱく相撲大会が相撲との出合い。間もなく入会した三島相撲クラブで熱心な指導を受け、正面から攻める相撲の基礎を築いた。
 「半端じゃない」と誰もが口をそろえる大食漢。中学で既に毎食4合以上の米を平らげた。母奈緒さん(44)は炊飯器をフル稼働させ、食材を切らさぬよう必死だったという。現在、飛龍高相撲部主将を務める妹陽奈さん(3年)と2人の子どもを育てるため、女手一つで家計をやりくりする苦労の日々を送った。
 中学3年のある日、熱海富士は「高校へ行かずプロに進みたい」と周囲に漏らすようになった。同クラブの杉山信二顧問(60)は「お母さんが食費やクラブへの送迎と大変だった。優しいやつだから、子どもながらに早く楽をさせたかったのだと思う」と推察する。皆で話し合い、最終的には親交のあった栗原大介監督(47)がいる強豪・飛龍高への進学を決めた。
 自宅から通学に1時間半。武井家の苦労を見てきた杉山顧問は高校生活に慣れるまでの半年間、三島市内の定食屋を兼ねた自宅に熱海富士を住まわせた。「おおらかでマイペース。大ざっぱで、よく注意もしたが、面白かった」と共同生活を懐かしむ。稽古の合間にアルバイトにも励み、通学費や遠征費を自ら捻出し、家計を支えた。後に奈緒さんは「本当に助かった」と語っている。
 「気が優しくて力持ち。皆さんに愛される力士になってほしい」-。母の願い通りに成長の階段を上っている。
 (運動部・吉沢光隆)

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