輝いた２１歳「これから」 大相撲 熱海富士 Ｖ争い 地元住民感謝 被災地に勇気
大相撲の熱海富士（２１）が静岡県出身力士初の幕内優勝を懸けて臨んだ２４日の秋場所千秋楽。大関貴景勝との優勝決定戦の末に敗れたが、出身地の熱海市からは「よく頑張った」「これからだ」とねぎらいの声が上がった。大規模土石流からの復旧復興を目指す市内の被災地にも感動を与えた。
地元後援会（会長・内田進熱海商工会議所会頭）が市総合福祉センターで開いたパブリックビューイング（ＰＶ）には約１２０人が詰めかけ、優勝決定戦の大一番を見守った。はたき込みで熱海富士に土が付くと、会場に悲鳴とため息が響き渡った。それでも、後援会役員で日本画家の坂本武典さん（４７）は「２１歳の若い力士が輝きを放ち、普段、相撲を見ない層にファンを拡大させた」と健闘をたたえた。
熱海富士が市立熱海中３年の時に学級担任を務めた安濃勇太さん（３７）＝市立多賀中教諭＝は「最後まで気持ちを切らさず、粘り強く戦った」と評価。給食を勢いよく平らげ、運動会の綱引きでは大黒柱の役割を果たした当時を振り返り、「優勝争いするだけでもすごい。心身共に立派に成長している」と話した。
大規模土石流が発生した熱海市伊豆山では今月１日に「警戒区域」が解除されたが、ライフラインが復旧せず、今も帰還できない被災者がいる。避難生活を送る中島秀人さん（５４）は「被災地に勇気と希望を与えてくれた。本当に感謝したい」と声を弾ませた。大食漢で知られる熱海富士の今後の活躍を願い、経営する製麺所で作っている復興麺を「腹いっぱい食べさせてあげたい」と語った。
（熱海支局・鈴木文之）
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