逍遥作詞の市歌 高らかに 熱海 遺徳しのび命日に記念祭
熱海ゆかりの文豪、坪内逍遥(1859~1935年)の命日に当たる28日、第53回逍遥忌記念祭(熱海市、熱海稲門会など主催)が同市昭和町の起雲閣で開かれた。市内の行政関係者や早稲田大卒業生など約70人が出席し、熱海の地域文化の発展に寄与した逍遥の遺徳をしのんだ。
記念祭では新型コロナウイルスの影響で中断していた「逍遥ゆかりの歌斉唱」の催しが4年ぶりに復活した。市民有志でつくる「坪内逍遥のうた保存会」が歌声を響かせ、「真冬を知らざる常春熱海」のフレーズで始まる逍遥作詞の「熱海市歌」を出席者全員で声高らかに合唱した。
逍遥は晩年を熱海の邸宅「双柿舎」で過ごし、市内に図書館を創設時に自身の蔵書3600冊を寄付するなど、数多くの足跡を残した。斉藤栄市長は熱海と逍遥の関わりに触れ、「文化の薫り高いまちとして先生の遺志を大切にしていく」とあいさつした。熱海稲門会の森田金清会長、早稲田大坪内博士記念演劇博物館の児玉竜一館長も「お慕いの言葉」を述べた。
シェークスピア原作「ジュリアス・シーザー」を翻訳した逍遥作の「自由太刀余波鋭鋒(じゆうのたちなごりのきれあじ)」を題材に、「明治大シェイクスピアプロジェクト」の学生が現代語訳を交えながら朗読劇を披露した。
(熱海支局・鈴木文之)