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テーマ : 熱海市

熱海土石流 静岡県、検証委員にも白黒文書 重要な情報判読できず

 熱海市伊豆山で2021年7月に盛り土が崩落し28人が死亡した大規模土石流を巡り、開発行為への対応を記したカラーの行政文書を静岡県職員が複写機で白黒化し不適切に開示していた問題で、静岡県が行政対応検証委員会(第三者委員会)の委員に送付した行政文書も白黒化されていたことが3日までの県などへの取材で分かった。元の文書で色分けされていた開発区域などが分からなくなっていた。

静岡県が検証委員に送ったとする白黒文書(右)と元のカラー文書(左)。白黒化で開発区域の色分けが分からなくなった
静岡県が検証委員に送ったとする白黒文書(右)と元のカラー文書(左)。白黒化で開発区域の色分けが分からなくなった

 川勝平太知事は「(検証委は)独立した組織だから、私どもで何か判断して、資料に対していじくるとかは一切していない」と述べており、説明内容と実態が食い違っている。
 県などによると、検証委の初会合が21年12月22日に開かれた際、委員から行政文書の送付を求められたため、同年12月末、06年以降の盛り土対応の文書に限定して各委員にそれぞれ郵送した。送付文書は検証委が最終報告書をまとめた後、県が回収したという。
 白黒文書は一部の写真が黒くつぶれ、土石流の前兆とされる川の濁りなどの重要情報が判読できなくなっていた。ただ、同じ行政文書から抜粋したカラー写真の一部は検証委の会議資料に掲載されていて、県としては当時、この行政文書がカラーだったことを認識していたとみられる。
 川勝知事はこれまでの記者会見で「包み隠さず有り体にあったことをそのまま検証委に報告し、検証の在り方は委員に任せていた」とも説明していたが、土石流起点で03年に発生した土砂崩れや05年以前の逢初川源頭部の無許可開発などは検証委で検証されていない。知事は今年8月22日に白黒化で判読できなくなった文書の報告を法務課から受けた際には、検証委の対象文書なのか確認するよう指示しなかったという。
 (社会部・大橋弘典)

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