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テーマ : 熱海市

大自在(11月6日)元大関・朝潮死去

 スポーツでも文化芸術でも、どの世界にも逸材と呼ばれる若者がいる。近畿大時代に2年連続で学生横綱とアマチュア横綱に輝いたこの人は「30年にひとり」と言われ、スカウト合戦になった。
 元大関朝潮で先代高砂親方の長岡末弘さんが死去した。67歳。大きな体と陽気な性格から「大ちゃん」の愛称で親しまれた。
 いつものことながら、訃報記事は要点が押さえられていて、発信する側にいながら感心する。今回は「スピード出世」「横綱北の湖戦では13勝7敗」「朝青龍を横綱に育て上げた」のくだりか。
 度重なるトラブルの監督責任も問われた朝青龍や、高砂部屋を託した元関脇朝赤龍ら弟子にどう向き合ったかが自著「親方はつらいよ」(2008年、文春新書)にある。「大関で終わったから横綱を育てられた」「謙虚に育てることが大事」などの言葉に人柄がのぞく。
 「無理編に拳骨[げんこつ]と書いて兄弟子と読む」と言われる相撲界の理不尽に反発し、「父権を振りかざさない師匠でありたい」と書いている。かつてプロ入りを決めた長岡青年が高砂部屋を選んだのは、兄弟子になる幕下力士が少なかったからという。
 師弟関係や指導法に新風を吹き込んだという点で、長岡さんは親方としても逸材だったのではないか。親方生活の終盤には朝乃山を大関昇進に導いた。それだけに、朝乃山や自身の新型コロナ対策ガイドライン違反は残念だった。秋場所千秋楽、朝乃山と、勝てば優勝の熱海富士(熱海市出身)の本割は記憶に新しい。九州場所は郷土力士とともに、朝乃山に注目したい。

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