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テーマ : 熱海市

熱海土石流起点の盛り土 2段階で崩落か 静岡県に検証委が新見解

 熱海市伊豆山で2021年に盛り土が崩落して28人が死亡した大規模土石流を巡り、土石流の起点にあった盛り土が2段階で崩落したとみられることが8日までの静岡県への取材で分かった。県が昨年、発生原因調査検証委員会の委員に改めて個別にヒアリングし、新たな見解が示されたという。県は、第1段階で右岸側の盛り土先端部が崩れ、支えを失った左岸側の盛り土が第2段階として崩落したと推定した。ただ、約20年前に左岸側で行われた分水嶺(れい)の違法開発が及ぼした影響について詳細な検証は不要との立場を維持している。2段階で崩落したとみられる逢初川源頭部の盛り土
 検証委事務局を務める県砂防課が、分水嶺の違法開発に関連する行政文書に記載された「逢初(あいぞめ)川源頭部で約20年前に起きた土砂崩れ」の影響について、沢田和秀岐阜大教授、小高猛司名城大教授、今泉文寿静岡大教授の3委員に対し、違法開発時の状況を撮った写真を見せて聞き取りをしたという。
 本紙が入手した県の知事報告の文書には、委員の主な意見として「ここ(20年前の土砂崩れ箇所)をきっかけに盛り土全体が崩れていくというのは考えづらい。盛り土の崩落は、吸水軟化現象により(右岸側の)下部盛り土が滑り、その後、北側(左岸側)の盛り土が崩落している」などと記されていた。
 同課の担当者は取材に「検証委で議論していないが(ヒアリングで)委員は2段階で崩れたと話していた。下流域に押し寄せた土石流が何波にもわたっていることから、いったん(盛り土の)下の部分が抜け、左岸側が午前10時53分に一気に滑ったということだった」と説明した。
 逢初川源頭部の崩落箇所は左岸側と右岸側に割れたハート形だった。左岸側の崩落のタイミング(水道管破断時間から午前10時53分と推定)は土石流最大波の時間帯と一致している。これまでの検証は右岸側に焦点が当たっていたが、左岸側の崩落がなければ大規模な土石流は起きなかったとする見方もあり、遺族や被災者の関心が高い。
 (社会部・大橋弘典)

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